マラソン後の寒気の正体は一体なに?
日々のトレーニングを積み重ね、いざ本番のマラソンレースを完走し喜んでいるのも束の間「レースを終えたばかりなのに寒気がする」「なんか体調が悪い気が」なんて事態が起こったことはないでしょうか?
他のランナーさんでも「意識が朦朧としていた」「脱水だと思って急いでエネルギー補給したけど寒気が治らなかった」「後日、体調を崩して1週間ほど寝込んでしまった」など、マラソン後に様々な症状を起こしています。
僕もマラソン後の寒気は経験したことがあり、走りきった後に気持ちよく帰ろうとしたら急に身体がだるくなり、寒気が襲ってきました。
今まさに寒気に直面している人も、放置していたら寒気が無くなりあれってなんだったんだろう?と気にしている人のために、寒気の正体を症状と共にまとめてみました!
マラソン後にくる寒気と言っても様々な症状があり、間違ったケアをするとさらに状況を悪化することにも繋がってきます。
自分がどの症状に当てはまるのかチェックし、正しいケア方法を知りましょう!
寒気の症状チェックとそのケア方法
マラソン後に起こる寒気の症状で身体がどのような異常を起こしているか確認しましょう。
大きく5つの理由が考えられ、その症状とケア方法を解説していきます!
低体温症
マラソン後の寒気の正体として一番明確に分かりやすいのがこの低体温症です。
特に冬場に多いマラソンレースでは、完走後の大量に汗をかいた状態でずっと居続けると身体が急激に冷やされ低体温症を起こします。
初期症状として『寒気、震え、手足の動きが鈍る、皮膚の感覚が少し麻痺』を起こし、更に症状が進行すると身体がふらつきやすくなり、重症になると震えることすらしなくなります。
よく駅伝や冬場のマラソン大会でも、走り終わった後のランナーがガタガタ震え、周りのサポーターたちに毛布やロングコートをかけられている姿を見かけますよね?
低体温症が起こっている場合はすぐに濡れたウェアを着替え、汗を拭き、上着を着たり、暖かい室内に移動するようにしましょう!
一人で難しい場合は近くの人に声をかけてタオルを貸してもらったりして、身体を温めることに努めることが大切になってきます。
冬場で大量に汗をかいた時や風が冷たい日のレースでは、マラソン後のケアを早めに行うようにしましょう。
ガス欠、ハンガーノック
『動悸、冷や汗、意識障害、手足の痺れ、体の震え』の症状が見られる場合は、ハンガーノックと呼ばれる身体がガス欠状態を起こしている場合です。
マラソンを空腹でスタートしたり、途中の栄養補給を怠ったりすると身体の中のエネルギーが足りなくなりハンガーノックを起こす可能性が高まります。
ハンガーノックの進行状態は以下の通りです。
初期症状:若干お腹が空いたと感じる
中期症状:喉が乾く、より空腹感を強く感じる、身体に力が入らない
後期症状:強い喉の渇き、動悸、冷や汗、手先の痺れ、めまい
ハンガーノックは血糖値が正常範囲以下に下がる低血糖の状態なので、すぐにブドウ糖やチョコなどの糖質を補給をするようにしましょう。
この時、手足の痺れがひどかったり身体に力が入らない場合は、安静にしエネルギー補給と水分補給を行うと共に救急車を呼ぶことが最優先になってきます。
脱水症状
マラソンによって体内の水分が汗や水蒸気となって体外に出され、体内の水分量が少なくなった時に起こるのが脱水症状です。
『多量の発汗、喉が渇く、めまい、吐き気、ぼんやりする』などの症状を起こし、脱水症状が進行すると『脱力感、ふらつき、手足の震え』が起こってきます。
脱水症状かもと感じた場合は、すぐに水分補給をするようにしましょう。
そしてこの時、水だけではなくミネラルの成分が含まれているスポーツドリンクや経口補水液を飲むことが大切になってきます。
水分だけの摂取は体内の血中ナトリウム濃度を下げ、不安感やめまい、頭痛などの症状を伴う「水中毒」を起こす危険性があります。
熱中症
気温が高い夏場のレースや湿度の高い日のレースは熱中症になる可能性が高くなります。
脱水症状と共に引き起こす可能性が高くなる熱中症は、『多量の発汗、めまい、失神、こむら返り』の症状が見られるようになります。
熱中症が見られる場合は、すぐに安静な場所に移動し水分補給とエネルギー補給をしながら身体を冷やしましょう。
貧血
マラソンレース の途中から「身体が疲れやすい」「思っているように力強く走れない」「今までのペースが早く感じる...」という場合は貧血を起こしている可能性が高いです。
『立ちくらみ、息切れ、めまい、ふらつき、頭痛』の症状を起こし、主な原因は普段の食事からくる鉄分不足です。
マラソンレース後の食事では、鉄分を多く含む食材を摂取するようにしましょう!
鉄分を多く含む食材はこちら。(100gあたり)
カタクチイワシの煮干し(18.0mg)
レバー(豚13.0mg、鶏9.0mg)
しじみ(4.3mg)
あさり(3.8mg)
ひじき(6.2mg)
小松菜(2.7mg)
ほうれん草(2.0mg)
鉄分の1日の推定量は成人男性7.0mg、成人女性10.5mg(厚生労働省:「食事摂取基準2015年度版」より)と言われていて、それを目安に鉄分を摂取しましょう。
マラソンレース中の貧血の対策やその予防法について解説している記事もあるので、そちらも参考にしてみてください!
フルマラソン後の寒気対策としてやるべきこと
マラソン後の寒気対策として「結局何をしたらいいの?」と分からなくなる人もいるのではないでしょうか?
フルマラソン完走後にする寒気対策として抑えてほしいポイントを3つまとめました!
マラソン後すぐに水分、塩分補給を行う
夏場でも冬場でもマラソン完走までに大量の汗をかき、体内の水分が失われ脱水症状を起こす可能性があります。
完走後はその達成感や嬉しさからケアを怠りがちなので、忘れずに水分を補給するようにしましょう!
この時に何をどれだけ補給したらいいかというと、ナトリウムやカリウムなどのイオン(電解質)を含んだスポーツドリンクを体内から失われた水分量を目安に摂取するようにします。
マラソンレース中にかく汗の中にはイオン(電解質)も含まれており、水分を摂取するだけでは体液が薄まるだけで、回復が難しくなってきます。
マラソン後は出来るだけスポーツドリンクを摂取するようにし、飲みすぎないようにすることが大切になってきます。
糖分でエネルギー補給をする
マラソンを走り切るエネルギーとなるのが体内に蓄えられているグリコーゲンと脂肪で、そのエネルギー源は完走した時には使い切っている可能性がほとんどです。
走り切るとヘトヘトになってしまうのも体内のエネルギーが枯渇している状態、つまりガス欠の状態を引き起こしています。
水分、塩分補給に合わせて身体のエネルギーとなる糖質(炭水化物)を摂取するようにしましょう!
特におすすめなのは、すぐに摂取出来て吸収が早いゼリーや水で溶かす顆粒のスポーツ用サプリメントです。
もちろんおにぎりやパン、バナナなどの固形物からも糖質を摂取してエネルギーに変えることは出来ますが、マラソン後は内臓疲労で胃の機能も低下しているため、なかなか消化が進まないです。
なんと言っても、走り終わった後は固形物も喉を通らないし、通ったとしても気持ち悪くなってしまったり腹痛の原因にもなるので出来るだけ避けるようにしましょう!
もちろん帰って落ち着いたら、バランスが良い食事を摂取するようにしてケアを怠らないようにしてくださいね!
冬場はすぐに汗を拭いて着替えることで寒気を避ける
お風呂上がりに湯冷めをして風邪を引いてしまうように、マラソン後は汗をすぐに拭いて冷えないようにして寒気を避けるようにしましょう!
特に冬場のマラソン後は汗をかいた状態で冷たい風に当たると、すぐに身体が冷えて寒気が襲ってくる可能性があります。
駅伝やマラソンでよく見かける低体温症を避けるためにも、マラソン後はロングコートをすぐ羽織ったり、暖かい室内に移動したりすることが大切です。
マラソン後に絶対してはいけない行動3つ
マラソン後の身体の状態を悪化させないためにも、マラソン後に絶対してはいけない行動3つも合わせてお話しします。
ランナーの資本である身体を健康に保ち、次のレースに向かえるようにマラソン後のアフターケアを正しく理解しましょう!
酷使した身体に水分、栄養補給を与えない
マラソンレース完走後は達成した満足感でケアが疎かになりがちです。
マラソン後に水分補給はもちろん、酷使した筋肉や内蔵を回復するための栄養補給や食事を行うようにしましょう!
このケアが出来ないとマラソン完走の疲れがあとでドッときたり、怪我や故障を起こしやすいような身体作りをしてしまうことにも繋がります。
マラソンレース後の食事や栄養補給について詳しく書いた記事もあるので、そちらを参考にしてみてください!
マラソン完走後のストレッチ、マッサージ、アイシングを怠る
栄養補給と同じようにこのストレッチやマッサージ、アイシングも疎かになりがちです。
疲労を残さないようにするのはもちろん、怪我や故障の予防をするという意味でかなり有効になってきます。
マラソンやトレーニングの負荷が重なっていくと怪我もしやすく、最悪の場合病院に通うことになる可能性も出てくるので避けたいですよね。
マラソン後に行う必要なストレッチの動画や、疲労回復を早めるケア方法をまとめた記事もあるのでそちらも参考にしてください!
お酒をグイグイ飲む
マラソン完走後は達成感とそれまでの我慢の解放感で、お酒を飲んでパーっといきたいところですが、マラソン後のお酒は少し注意が必要です。
お酒に含まれているアルコールには利尿作用効果があり、飲酒によって身体から必要以上の水分が失われたりして脱水症状を起こす可能性があります。
また、アルコールは身体の回復を助けてくれる肝臓の機能を低下させます。
お酒を飲むなとまでは言えませんが、マラソン当日の夜くらいは身体のことを考えて個人に適切な量のお酒を飲むようにしましょう!
マラソン後の寒気に負けない身体作りを日常から積み重ねる
マラソン後の寒気が治ったらトレーニングも再開することが出来ます。
ただ同じようなことを起こさないようにするために、普段からのトレーニングや食事を見直し健康な身体を保つための予防が必要です。
健康な体づくりはマラソンレースの記録更新を狙うための基礎にもなるので、正しいトレーニングや食事を一緒に身につけていきましょう!