マラソン後半で直面する「30キロの壁」とは?
「今日はマラソンレース本番!仕事終わりや週末に時間を作って、積み重ねてきたマラソントレーニングの成果を全力で発揮するとき!」
そう意気込んでマラソンレースがスタート「よし前半はいいペース、この調子で後半も!」「あれ、20〜25キロまではいい調子だったのに...」「息も上がって足が前に出ない...」そんな経験ありませんか?
突如30キロあたりで謎の大失速してしまい、悔しい思いや苦い思いをしながらゴールまで走ったランナーも多いはずです。
マラソンを始めたばかりの初心者ランナーも「30キロの壁」という単語を聞いたことがあるのではないでしょうか?
フルマラソンでサブ4やサブ3を目指す上級者ランナーでさえも、マラソン後半の25〜35キロ地点で身体が動かなくなり大失速する「30キロの壁」。
今回はその「30キロの壁」はなぜ起こってしまうのか?どうしたら「30キロの壁」が乗り越えられるのか?その具体的なトレーニング方法も合わせて解説していきます!
「30キロの壁」にぶつかる原因を考えてみる
上級者ランナーでさえ体験するマラソンレース後半の「30キロの壁」は、どのような理由から発生するのでしょうか?
「疲れているから?」「自分の身体に何か問題が発生しているから?」「みんなが言っているから思い込み?」いくつか「30キロの壁」が発生する原因を考えてみました。
トレーニングの疲労が抜け切れていない(準備不足)
マラソン後半の「30キロの壁」にぶち当たる人は、普段のトレーニングの疲労が抜け切れていなかったり、マラソンレースのペース配分を考えていなかったりする準備不足が多く見られる傾向があります。
分かりやすく数値化すると、体力満タン100の状態でマラソンレースをスタートするのと、少し疲労した体力70の状態でマラソンレースをスタートするのでは、疲労するスピードも異なればエネルギーが尽きるタイミングも早くなってきます。
マラソンレース当日に合わせて疲労を残さないことが大切になってきます。
「30キロの壁」の擬似体験不足(トレーニング不足)
「30キロの壁」にぶつかる原因としてよくランナーの間で話されるのが、トレーニング不足によるマラソン後半の失速です。
普段のトレーニングで最長10〜20キロ程度しか走れていないというランナーは、どれだけ週の頻度を多く走っていたとしても30キロを超える距離を走る体験をしていないため、本番のレースの「30キロの壁」にぶつかることが多いです。
マラソン後半に失速が少ないスタミナ型のランナーではなく、マラソン前半が得意で後半は失速しやすいというスピード型のランナーは、20〜30キロ程度の長い距離のラントレーニングをしておくことが大切になってきます。
30キロ以降に起こる身体のエネルギー切れ(内臓疲労)
30キロあたりで大幅に失速してしまう原因は「ランナーのエネルギー切れ」です。
人間の体内に蓄えられるエネルギーには限界値があり、それが1500〜2000Kcalに対し、フルマラソン(42.195km)を完走するのに必要なカロリー量は一般的に2500〜3000Kcalと言われています。
消費されるカロリーに対し、必要なカロリー量が備わっていないのでレース中のエイドで栄養補給をしたりして、エネルギーを補給しながら走ることが必要になってきます。
また、フルマラソンでは身体の疲労はもちろん、内臓もダメージを受け疲労している可能性が高いです。
内臓が疲労するとその機能も低下するため、「完走のために必要なエネルギーを補充したはずなのに」という場合でも、内臓の機能が低下して上手くエネルギーが補充できていない場合もあります。
歪んだフォームによる疲労や怪我
マラソンレース中の歪んだランニングフォームは腰や膝などに疲労を蓄積し、レース後半でよく見られる「膝が痛くなってきた」「太もも前が張ってきた」などの原因に繋がってきます。
また、疲労が蓄積しそれに耐えられなくなってしまうと最悪の場合、怪我や故障を起こす原因になり、レース後のマラソンライフにも影響してきます。
自分で走っていても分からない場合が多いので、他人に自分の走っている姿を見てもらったり、動画を撮ったりして正しいフォームを身に付けることが「30キロの壁」を突破する一つの鍵になってきます。
フォームの歪みやそのチェックの仕方について解説している動画もあるので、そちらも参考にしてみてください!
マラソン前半のオーバーペース
フルマラソンへのトレーニングをしっかり積み重ねているはずなのに、「30キロの壁」にぶつかってしまうランナーは、レース前半のオーバーペースが原因の場合があります。
レース本番は「やってやるぞ!」という気持ちが先行して飛ばしてしまったり、アドレナリンが出たり周りのランナーに感化されていつものペースより早く走ってしまう経験もあるのではないでしょうか?
前半のオーバーペースのつけが「30キロの壁」に現れ、失速してしまうランナーも多く存在します。
マラソンレース当日は決めていたペースを守って、レース後半に向けて脚を残していくことが重要になってきます。
マラソン後半にくる心の折れ
マラソンを走っていると「スピードを落として走ろうかな」「もう脚も辛いし息も上がってきた」「どうせまた記録更新は無理なんだろうな」と弱い自分が出てくるシーンがあるのではないでしょうか?
特に「30キロの壁」付近は身体のエネルギーも切れ、頭の中もネガティヴ思考になりがちなので「あ〜もういいかな」と歩き出してしまうランナーも出てきます。
マラソンは肉体的疲労も精神的疲労もくるため、トレーニングの段階で「30キロの壁」並の辛さに馴れておく必要があります。
「30kmの壁」について肉体と精神の関係性、スポーツ心理学から分析した記事もあるので、そちらも合わせて見てみてください!
マラソン後半にくる「30キロの壁」の対策
では実際にマラソン後半にくる「30キロの壁」はどのように対策したら、ぶつかることなく完走を目指したり記録更新を目指すことが出来るのでしょうか?
サブ4やサブ3などのタイム更新を狙うランナーであれば、「30キロの壁」の対策をしないわけにはいきません。
30キロ走&3時間ランで距離感覚を掴む
「30キロの壁」の原因で「30キロの壁のような辛さの体験不足」という話をしたように、マラソン後半で失速するランナーは、普段のトレーニングで10〜20キロ程度の距離しか走れていない人が多いです。
実際に「30キロの壁」にぶつかったランナーが、レースの振り返りをする場面でも「練習量が足りなかった、特にロングラン」と口にするランナーも多く見られます。
マラソン後半で失速しないためには、普段のトレーニングを積み重ねる必要があります。
30キロ走や3時間ランといった長距離、長時間のトレーニングをすることで、マラソンレース本番同様の「ペース感覚、距離感覚、身体作り、精神力」を鍛えることが出来ます!
一度でもいいからトレーニングで長距離、長時間ランを取り入れてみることをオススメします!
腰高フォームで「30キロの壁」まで脚を残す
歪んだランニングフォームは疲労を蓄積しやすく、最悪の場合は怪我や故障を起こすと言ったように、マラソンレース中の正しいフォーム作りが「30キロの壁」を突破する解決策にも繋がってきます。
「正しいフォームってどれか分からない」「疲れにくいランニングフォームを手に入れたい」「30キロの壁を突破したい!」というランナーのために、SPIRITS RUNでは「腰高のフォーム」を手に入れることをオススメしています。
身体を一本の棒としてイメージし、頭の上から一本の糸が伸びて上に引っ張られるイメージを持つことで「腰高のフォーム」を手に入れることが出来ます。
腰高のフォームを手にしてレースを走ることで、脚も疲れにくくレース後半まで脚を残し「30キロの壁」を突破できるようになります。
腰高のフォームの手に入れ方について詳しく解説している動画があるので、そちらを参考にしてみながら自分のフォームを確かめてみてください!
フルマラソン完走ができる身体作り
「30キロの壁」を突破するためには、まずフルマラソン完走が出来る身体作りをすることからスタートします。
30キロ走や3時間走のように走りきれる心肺機能を向上させるのはもちろん、それに耐えられる下半身作りやランニングフォームがブレない体幹作りをすることが重要になります。
どれだけ心肺機能が高く速く走れたとしても、それに身体が耐えきれず「30キロの壁」で失速してしまったり怪我や故障をしていては全く意味がありません。
30キロの壁を突破するための体幹トレーニングについて下記の動画でも解説しているので、動画を見ながら一緒にトレーニングしてみてください!
プラス発言で自分を鼓舞し「30キロの壁」を乗り越える
マラソン後半になってくると「あぁキツイ」「もう歩いてもいいかな」「無理かもしれない」とネガティヴな思考になって、「30キロの壁」でピタリと足が止まってしまう経験をした人もいるのではないのでしょうか?
思考は行動にも現れるためネガティヴに考えると、急にドッと疲れが出てきたり足が動かなくなってしまいます。
逆に、「まだいけるぞ」「もうあと1kmだけ頑張ろう」「ここで記録更新するんだぞ」と自分にポジティブに声かけをすることでレース後半の失速を逃れることが出来ます。
30キロ以降の失速を抑える方法について解説した動画もあるので、そちらも参考にしてみてください!
マラソンレース前日の食事に気を遣う
マラソンレース本番で高いパフォーマンスを発揮するには、マラソン前日の過ごし方や食事の「準備」の部分にも気を遣うようにしましょう!
特に身体を内面から作り上げる食事の部分を気にすることをオススメします。
マラソンレース本番前日に「明日頑張るために今日はストレス発散!」と脂っこいものを多く摂取したり、アルコールを大量に飲んだりしていないでしょうか?
マラソンレース前日から本番直前は、自分が普段食べ馴れている食事をメインにバランスよく食べたり、糖質をエネルギーに変える助けをしてくれるビタミンB1が多く含まれた豚肉などの食材をメインに摂取するようにしましょう!
マラソン前日に食べるべき食事や「これだけは避けたほうがいい!」という食事について解説している記事もあるので、そちらも参考しながら前日の食事を改めて考え直してみてください!
マラソンレース中の補給で足りないエネルギーを補う
フルマラソン(42.195km)を完走するために必要なカロリー量は一般的に2500〜3000Kcalと言われています。
それに対し人間の体内に蓄えられるエネルギーには限界値(1500〜2000Kcal)があり、完走に必要なエネルギーが足りないので、そのエネルギーをレース中のエイドや携帯する補給食で補う動きが必要になってきます。
目安として初心者ランナーは1時間ごと、上級者ランナーは10キロごとにエネルギー補給をすることで、マラソン後半の失速を防ぐことが出来ます。
補給してからそれがエネルギーとして使えるまで最低でも30分はかかるので、「30キロの壁」にぶつかりそうな時間帯から逆算して考えてみるのも一つの手になります!
レース前日からレース中、レース後の栄養補給のやり方について解説している記事があるので、そちらも参考にしてみてください!
「30キロの壁」を突き破って大幅に記録更新を目指そう!
「30キロの壁」に悩まされているランナーも、それで悔しい思いをしたランナーも、レース前の準備やレース中に意識するポイントをしっかり抑えて対策することで、マラソンレース後半の失速を防ぐことが出来ます!
「また失敗しないかな」とネガティヴになって焦るのではなく、「しっかり対策したからいつでも来い!」と強気な気持ちでマラソンレース本番に臨むぐらいがちょうどいいです。
自分が出来ることをしっかりやって、サブ4やサブ3と言った記録を狙ったり、「30キロの壁」に悩まされることなくレースを順調に運ぶことで、自身が目指している目標を達成してランナーとしてもう一段階レベルアップしましょう!