マラソンとメンタルの強さの関係性
フルマラソンを完走するには、その負荷に耐えられる身体作りをすることはもちろんですが、メンタル面も鍛えないと意味がありません。
特にマラソンは競技時間が長く、初心者ランナーでも4、5時間、上級者ランナーでも3、4時間はずっと走っていることになるので、メンタルの強さとの戦いにもなってきます。
「レースの途中から辛くて歩いてしまった」「30kmを超えたあたりから疲れて失速してしまった」みたいに気持ちが折れてしまったランナーも数多いです。
今回は、練習を継続するためのメンタルの作り方や、レース中に何を考えたらいいのか?どうやってメンタルをコントロールするのか?など、具体的なメンタルトレーニングの方法もお話ししていきます。
マラソンをするなら避けては通れないメンタル面について、今回は向き合っていきましょう。
メンタルも強いランナーがタイムを伸ばす
サブ4やサブ3といった大きな成果を残すランナーや、最後のゴールまで走り抜けるようなランナーは、自分の体格や状態に合ったランが出来ることはもちろん、強靭なメンタルを持ち合わせています。
苦しくなった時に自分を鼓舞したり、「もう疲れたし歩こうかな」といった甘い自分と戦いに勝つことでゴールまで走り抜けたり、目標としていたタイムを叩き出すことが出来ます。
「なんで走っているんだろう」「腰や膝が痛くなってきた」「誰かと勝負しているわけじゃないし」みたいに長い距離を走っていて疲れてくると、言い訳や愚痴は沢山出てきます。
どれだけ体力や脚力に自信のあるランナーも、メンタル面が弱いとレースを走り切ることは出来ません。
レースで完走し切ることや、目標のタイムを目指すということは、自分に出来ないことに挑戦していることにもなるので、それに耐えられるメンタルを持つことが大切になってきます。
マラソンを再認識するとこからスタート
改めてマラソンの競技性を理解しましょう。
まずは、「自分が行っている競技はどんなものなのか?どんな競技性で、どういう人が大きな成果を残せるのか?」を知ることから始まります。
そうするとマラソンの見え方も変わって、今自分が何をしたらいいのかも明確になってきやすいです。
マラソンレースは自分一人で闘う
マラソンレースは一人で、スタートからゴールまで走ります。
誰かに助けてもらったり、車でゴールまで移動したりするのは禁止で、しっかり自分の脚でゴールするために走ります。
つまり、マラソンは自分との闘いになります。
サッカーや野球などの団体競技とは違い、自分が疲れてスピードを緩めればタイムは落ちるし、自分が頑張って弱い自分と闘うことでタイムは縮まり、目標としていたタイムが出るかもしれません。
すべては自分の頑張り次第で結果が変わってくる競技ということを覚えておきましょう。
スタートしたらゴールまで止まらない
マラソンレースはスタートすると、自分がゴールするまで終わりません。
他の競技とは違い、途中でハーフタイムや休憩といったものは存在しないので、最後まで走り切るか棄権するまで競技は止まらないです。
ハーフタイムや休憩でゆっくり作戦を考える時間もないので、スタートする前の準備を入念にすることや、走っている中で自分でペースを調整する力が必要になってきます。
様々なレベルの人がレースに参加する
マラソンレースには様々なレベルの人たちが参加します。
このレースで一番になることを目指している人、自身のタイムを更新するような走りを目指している人、趣味程度でレースを走り切れればいいかなぐらいの人など、多くのランナーが参加します。
もちろんレースに出る目的が違うということは、レースまでのメンタルの持ち方やウォームアップのやり方、レースの運び方も変わってきます。
「周りのランナーが違うことやっているけど大丈夫かな」と不安になる必要はなく、自分の目の前にあることを全力でやるようにしましょう。
練習を継続するために必要なメンタル
メンタルを鍛えるといってもどこを意識してトレーニングを行えばいいでしょうか?
まずは普段の練習からメンタルを鍛えていくことが重要です。
日々の細かいところからメンタルを強化していきましょう。
「練習にいくモチベーションがありません」「練習がなかなか継続できません」ランナーが一番最初にぶつかるであろう壁を壊すための考え方、メンタルを教えます。
初心者ランナーは距離を多く踏むことより習慣化を意識
マラソンを始めたばかりの初心者ランナーは、沢山距離を踏んでトレーニングするというより1日5分、10分でもいいので走りに出て、ランの習慣をつけるようにしましょう。
慣れていないランだからこそ最初に負荷をかけすぎたトレーニングをしてしまうと、マラソンやランニングを辛いものと認識し、走ることを嫌いになってしまう可能性があります。
また、いきなり距離を伸ばしたりして負荷のかかるトレーニングをすると、身体の怪我や故障の原因にもなるので注意が必要です。
「今日は10分も走れたえらい!次は30分に挑戦しよう!」と次のランに繋がる達成感も得ることで習慣化しやすくなります。
まずは3日続けてみましょう!
仲間やグループに入って走る状況を作る
一緒にランニングする仲間を見つけたり、ランのコミュニティやランニングクラブの所属することで「走らないといけない状況」を作り出してしまうことです。
自分で決めたことも守れないって人や、誰かと一緒にやったほうが頑張れるという人は、誰かを誘って一緒にランをしたり、近くでランコミュニティやランニングクラブがあれば、そこに積極的に参加してみるのも一つの方法です。
仲間が出来れば走ることも楽しくなってくるし、一人じゃ出来ないような練習も出来ます。
とりあえず着替えて5分だけ外に出てみる
頭で考えるより、まずはランニングウェアに着替えてみて5分だけ外に出て走ってみましょう。
とりあえず5分だけでもいいので走ってみてください。意外と動けて「もう少し走ってみようかな」ってなるようになるかもしれません。
物事の動き始めってどうしても腰が重たく、実際に動いてみたら「あれ、意外と」ってスムーズに動けるようになるランナーさんも多いです。
とりあえず5分だけでいいので着替えて外に出ることから始めてください。
走ったご褒美を準備する
走ったら自分が好きなものを食べる、お酒を飲む、テレビを見る、ゲームをするなど自分で走り終わった時のご褒美を設定してみてください。
そうすると小さな目標が出来て、それに対して頑張れるようになります。
ご褒美を準備するのもいいですが、それでも頑張れない人は「逆にやらなかったら」を考えてみてください。
走ることが出来なかったら好きなものは食べられない、お酒は飲めない、テレビは見れない、ゲームも出来ないなど自分に罰ゲームを設定するやり方です。
自分で決められない場合は、家族の人や仕事仲間、一緒に走っている仲間などの他人に設定してもらうことをオススメします!
走るための自分ルールを決める
「走るかどうか悩むな」って考えることが多い人は、走るための自分ルールを設定するようにしてみてください!
明確なルールを設けることで、悩むために使っていた無駄なエネルギーを無くしたりすることが出来ます。
例えば、「雨が降ったらもうランはしない」「〇〇時までに仕事が終われば、その日の△△時からは必ずランをする」などのルールです。
そうやってルールを決めるとモヤモヤした状態でいることが無くなるので、それぞれの仕事に合った自分用のルールを作ってみてください。
レースに対するメンタルの基礎的な考え方
では、実際のマラソンレース本番ではどのようなメンタルで挑めばいいでしょうか?
トレーニングのメンタルの持ち方は理解したけど、実際の本番で使えないようじゃ意味がありません。
レース本番で意識しないといけないメンタルの基礎的な考え方をいくつかまとめました。
他人のランと比較しないこと
レース本番では、初めてレースに参加するランナーから上級者ランナーまで多くの人がいます。
よくマラソンレースでありがちなのが、他人と自分のランを比較して落ち込んでしまう人がいます。
「自分よりあの人のほうが速い」「自分はあれだけ練習したのになんで出来ないんだ」と誰かのランと自分のランを比較することに意味はありません。
他人のランを見て燃えるならまだしも、落ち込むぐらいなら過去の自分と今の自分を見比べてみてください。
マラソンレースは自分との戦いであり、過去の自分の成績より今の成績がよければそれでいいです。
マラソンを通して自分が成長するためのものでもあるので、他人のランと比較することはオススメしません。
自分の思いを強く持つこと
自分の中で決めていた信念や思いを強く持つようにしてください。
「これまでのトレーニングもやってきたし間違いない」「自分なら出来る」「今回で変わるって決めたんだ」と心の中で何度も自分を鼓舞することです。
自分が尊敬している人の言葉や、有名人や漫画の名言でも構わないので、ラン中の自分の背中を押し続けてくれるような思いを持ちながら走るようにしましょう。
メンタルが折れないように何度も何度もレース中に思いましょう。
マラソンレース後半はきついものって割り切る
「どうせどこかで苦しいタイミングがくるんですよね」ぐらいマラソンレースに対して、割り切ったほうが気持ちもラクになって、いつも通りのパフォーマンスが出来るようになります。
「頑張るぞ」と意気込むと変に力が加わり、いつもは痛まない部分が痛くなってきたり、そういう時に限ってタイムが変わらない経験をした人も多いのではないでしょうか?
マラソンレースはきついものと割り切って、気軽にスタートしたほうがいいです。
突然きつい時間がくるより、「どこかでくるんだろうな」って分かっていたほうが対策もしやすいです。
どうせどこかで辛くて苦しいタイミングはくるので、そういうもんだと割り切ってレースに向かうことがレースを攻略するヒントになります。
特にマラソン30km以降は「30キロの壁」とも呼ばれ、多くのランナーが失速することが分かっています。
「30km以降のために前半は抑えて走ろう」「30km以降は辛いものだからその時だけ頑張ろう」と割り切ったほうがラクですよね!
「30kmの壁」についてスポーツ心理学から見た記事もあるので、そちらも参考にしてみてください!
メンタルの鍛え方、トレーニング方法
筋肉とは違いメンタルは目に見えないから、鍛えるのが難しく見えがちですがしっかりしたトレーニングをすれば鍛えることが出来ます。
いくつかメンタルの鍛え方、トレーニング方法を紹介するので自分に合ったものを普段の生活にいれてみてください。
普段のラントレーニングから意識する
普段のラントレーニングから意識することで、レース本番でも動じないプレーが出来るようになります。
普段のランで「うわ、つらい」と思う時がメンタルを鍛えるチャンスです。
そこで1分でも5分でも耐えることが出来たら、メンタルが少しづつ強化されます。
怪我や故障で痛むときは別ですが、単純なつらさや大変さが来たときにスピードダウンしたり、走るのを中断しないようにしましょう。
普段のトレーニングでもその癖がつくと、レース本番でも同じようなことをやりがちです。
普段のラントレーニングからメンタルを鍛えるトレーニングをすることをオススメします!
やる気やモチベーションを向上させる脳トレについて詳しく解説した記事もあるので、そちらも参考にしてみてください!
ネガティブな日でもチャンスと捉える
「うわ、雨降ってる、今日は外走る予定だったのに」「少し脚が痛むな」みたいに、他の出来事でネガティヴになるときありますよね。
「そういう時こそ何が出来るだろう?」とポジティブに考えることで、次のアクションが変わってきます。
「雨が降ったら家で筋トレ出来る!普段出来ないからラッキーだな」「少し脚が痛むから、今日はストレッチをして柔軟性を高めたり、練習メニューを見直す時間にしよう」など、ポジティブに考えることで次のアクションが出てきます。
雨や物のせいにするのではなく、「こういう時に自分は何が出来るだろう?」と考え方を変えることが出来ると、メンタルが強化されレース中に何か起こっても対処することが出来ます。
目標タイムを改めて設定する
目標としているタイムを改めて設定しなおすことで、自分のモチベーションを高めましょう。
この時に自分が達成するのが困難な目標にするのではなく、自分がワクワク出来るような目標設定をすることです。
無理な目標だと「自分に達成できるか不安」「達成している自分をイメージ出来なくて練習に力が入りません」なんてことにもなります。
自分がワクワクする目標設定を改めて決めたり、誰かと一緒に目標設定するといいでしょう。
ルーティーンを作る(上手くいくため、復活するため)
上手くいく人やプロと呼ばれている人は、自分のルーティーンがあります。
「レースが上手くいく=このルーティーンをしている」と結び付けることで、「このルーティーンをする=レースが上手くいく」という思い込みを作り、プレーを最大化しやすくするやり方です。
「過去に上手くいっていた時、自分は何をしていたかな」と考えることで、「レース前にこういうことをしていればレースも順調にいきやすい」というルーティーンを見つけることが出来ます。
ルーティーンが分からない場合は、周りに「自分が上手くいく時ってどんなことしていた?」と聞いてもいいですし、自分でルーティーンを作ってもいいです。
また、上手くいかなくなった時やメンタルが折れそうな時にする、おまじないのようなルーティーンを作っておくこともオススメします。
メンタルが折れる時って上手くいっていない時や苦しい時です。
その時に「深呼吸3回する」「大丈夫だよと声かけをする」などのメンタルを復活するためのルーティーンを作ることがオススメです。
マラソン関係の人、物に触れモチベーションを高める
普段からマラソン関係の人と関わったり、マラソンの動画や雑誌、SNSに触れることでモチベーションを高く保ちましょう。
「自分もああいう風になってみたいな」というものをイメージしやすくすることで、メンタルを保ち続けることが出来ます。
特に周りでマラソンをやっている人がいないと触れることも少ないので、自分の意思がしっかりしていない限りトレーニングを続けるのも難しくなってきます。
「まぁいいか」ってなってしまうことも多いので、自分が好きなランナーや雑誌などを見てモチベーションを保つようにしましょう。
レースの下見をしてイメージトレーニングをする
レースの下見を行うことで、自分の中でレースのイメージが出来るようになります。
もし時間や体力に余裕があるなら、試走してみるのもオススメです。
人間はイメージ出来ないものを目の当たりにすると、びっくりして調子を狂わせてしまうことがあります。
レースの状態を分かっている状態で走るのと分かっていない状態で走るのは、タイムにかなりの差が出てくるようになります。
下見をせずにレースに挑み、途中で「え、こんな坂道長いの?」ってなるとメンタルもやられがちになるので、レースの下見をして「この辺が辛くなってくるポイントだな」と把握しておくとメンタルも折れづらくなります。
レースの下見で大事なポイントについてまとめた記事もあるので、そちらも参考にしてみてください。
強靭なメンタルを手に入れマラソンレースを快走しよう
人間は苦しくなってきた時に自分と戦うことが多くなってきます。
そんな時に重要なのが、弱い自分に勝てる強靭なメンタルです。
上級者ランナーは苦しいタイミングがきてないのではなく、苦しいタイミングで弱い自分に勝てるメンタルがあるから最後まで走り抜くことが出来るし、目標としているタイムを目指すことが出来ます。
ランナーであれば誰もが直面したことある30km以降の壁こそ、乗り越えられるかどうかのタイミングだと思うので、そこで弱い自分に勝つためにも普段のトレーニングからメンタルを鍛えましょう。
普段のトレーニングでの意識や、メンタルを鍛えるトレーニングで強靭なメンタルを手に入れることでレースを完走させ、上級者ランナーの仲間入りもしましょう。