マラソンで下半身の筋トレは本当に必要なのか?
マラソンやランニングで、下半身の筋トレをすることは本当に必要なのでしょうか?
「下半身の筋トレが大事ってよく聞くけど何をしたらいいか分からない」そんな悩みを抱えたランナーも多いのではないでしょうか。
結論から言うと、マラソンランナーでタイムの更新に悩んでいるランナーや怪我が多いランナーは、下半身の筋トレが必要です。
ただ、間違った筋トレ方法をしてしまうと、返って逆効果でタイムが伸びなくなったり、怪我をしやすい身体を作ってしまうようになります。
今回はその正しい下半身筋トレの効果と、そのトレーニング方法、筋トレで注意しないといけない点を踏まえて話していきます!
筋トレ(下半身)がマラソンに与えるメリット
ランナーにとって下半身が鍛えられることでどんなメリットが生まれてくるでしょうか?
無闇に筋トレを積み重ねるのではなく、どんな効果が見込めるのかを理解するのも大切になってきます!
下半身を鍛えることで脚を前に運びやすくなったり、疲れにくい走りをすることはもちろん、他にも様々な効果が見込めます。
怪我や故障のリスクを下げる
大腿四頭筋(もも前)、ハムストリングス(もも裏)、下腿三頭筋(ふくらはぎ)といった大きな下半身の筋肉を鍛えることで、マラソンの着地の衝撃にも耐えられるようになり、怪我や故障のリスクを下げることも出来ます。
下半身の筋肉は着地の衝撃を和らげてくれるクッションのような役割をし、この下半身の筋肉が弱いと膝や腰も痛めやすくなってしまいます。
ランナーにとって怪我や故障をすることは一番避けたいことですよね!
大きな筋肉をメインに筋トレしていくことが大切になってきます。
筋持久力の向上でタイムが更新されやすくなる
下半身の筋トレを行うことで、長距離には必ず必要になってくる筋持久力(長時間筋肉を動かし続ける筋肉)が向上され、後半でも失速しないようになります。
筋持久力をつけると疲れにくい走りが出来るようになるので、レース後半でも高いパフォーマンスを保ったままタイム更新を狙うことが出来ます。
太もも付近の筋肉はもちろん、大臀筋(お尻)や下腿三頭筋(ふくらはぎ)の筋肉もランのパフォーマンスに影響してくるので、筋持久力の強化が必要になってきます。
ランニングフォームを安定させ、マラソンレース後半でも疲れにくい走り
下半身の筋肉と共に体幹も鍛えられるようになると、ランニングフォームが安定し長距離マラソンやランニングでもフォームの歪みや傾きが起こらないようになります。
フォームの歪みや傾きが起こると、レースのタイムを更新することが難しくなったり、着地の衝撃が膝や腰などに集中することで怪我や故障を起こす原因にもなります。
下半身の筋肉を軸に鍛えることでランの安定性が向上し、レース後半でも疲れにくい走りをすることが出来るようになります。
下半身を鍛え怪我の予防をする筋トレメニュー
では実際にどのような下半身の筋トレをするのがいいでしょうか?
筋トレで重要なことは、自分に足りない筋肉を補うバランス性が重要になってくるので、自分にはどの部分が足りないか考えながら読み進めてください。
下半身の部位ごとにオススメの筋トレをまとめてみました!
フロントランジ(大腿四頭筋、ハムストリングス)
片足を前に出し、両膝を曲げ、重心を落とす筋トレ方法です。
着地の衝撃を抑えてくれる大腿四頭筋(太もも前)や、地面を押し出す推進力を出すハムストリングス(太もも裏)をメインに鍛えることが出来ます。
フロントランジのやり方は以下の通りです。
①直立に立つ
②片脚を前に出し、両膝を曲げ重心を下げる
③これを10~30回繰り返し、終わったら反対の脚で同じように行う
この時に注意しないといけない点として、上半身がブレやすいのでお腹にグッと力を入れて、背筋をまっすぐ保てるようにしましょう!
初心者であれば10回程度を3セット、上級者であれば30回を3セット行うようにしましょう!
スクワット(大腿四頭筋、ハムストリングス、大臀筋、体幹)
下半身を鍛えるトレーニングとして鉄板のスクワットです。
大腿四頭筋(太もも前)、ハムストリング(太もも裏)、大臀筋(お尻)などの筋肉から、ランニングフォームを安定させる体幹までも鍛えることも鍛えることが出来ます。
スクワットのやり方は以下の通りです。
①足を肩幅に開く
②膝と足の爪先の方向が同じ方向を向くようにする
③太ももが床と並行になるようにゆっくり下ろす
スクワットのポイントは、お尻を突き出し腰を下ろすイメージです。
この時に上半身の胸も張ることも意識するようにしてください。
スクワットは、15~20回を3セットを目安に行うようにしましょう!
下記の動画でもスクワットのやり方を説明しているので、動画を見ながら取り組んでみてください!
スプリットスクワット(大腿四頭筋、ハムストリングス、大臀筋、内転筋)
大腿四頭筋(太もも前)、ハムストリング(太もも裏)、大臀筋(お尻)などの筋肉から、安定した着地を作る内転筋(太ももの内側)が鍛えられるトレーニングです。
フロントランジのトレーニングと似ていますが、スプリットスクワットは脚を前後に開きながらするスクワットです。
スプリットスクワットのやり方は以下の通りです。
①片脚を前に踏み出す
②その状態で重心を落としていき、前に出した脚の太ももが地面と並行になるまで落とす
③前に出した脚に力を入れて身体を元に戻す
④10回出来たら前に出す脚を変えて同じことを繰り返す
フロントランジ同様に、上半身がブレやすくなっているので、お腹に力を入れて背筋をまっすぐ保ったまま行うようにしてください。
左右10回ずつを1セットとして、これを3セット行うようにしましょう。
スプリットスクワットについて解説した動画もあるので、そちらを見ながら一緒にやってみてください!
カーフフレイズ(下腿三頭筋)
下半身に詰まった血液を心臓に戻すような大きな仕事を抱えた大きな筋肉が下腿三頭筋(ふくらはぎ)です。
カーフレイズは、地面を踏み込む力が強化されたり、着地時の衝撃を和らげる下腿三頭筋(ふくらはぎ)を鍛えることが出来ます。
下腿三頭筋は下半身に詰まった血液を心臓に戻すような役割をする大きな筋肉で、「第二の心臓」と呼ばれています。
ふくらはぎの筋肉を鍛えることで血流をよくし、疲れにくい走りを手伝う働きもします。
カーフレイズのやり方は以下の通りです。
①足を肩幅に開く
②かかとを出来るだけあげ、つま先立ちになる
(ふらつく人は壁などに掴まりながらで大丈夫です)
③ゆっくりかかとを下ろす
④トレーニング中はかかとは地面につけない
かかとを上げて下ろすまでの作業を1回として、カーフレイズは30~50回を3セット行うようにしましょう!
家の中でも簡単に出来る筋トレですし、普段の生活にある階段の上り下りでも鍛えることが出来るので、エスカレーターではなく階段を使うように心がけることで下腿三頭筋を鍛えることが出来ます。
フロントブリッジ、プランク(体幹)
フロントブリッジ、プランクとも呼ばれるトレーニングは体幹を鍛えることが出来ます。
体幹は身体の軸になる部分で、鍛えるとランニングフォームを長く維持できるようになり、下半身への負荷を軽減することでレース後半の失速や疲れを抑えることが出来ます。
フロントブリッジ、プランクのやり方は以下の通りです。
①左右の両肘、つま先を床につけて、腕立て伏せの姿勢になる
②肩からかかとまで一直線になっている姿勢をキープ(お尻が上がらないように)
③お尻を閉めて、腹筋に力を入れるイメージ
フロントブリッジ、プランクは30秒を3セット行うようにしましょう!
余裕がある人は60秒を目安に時間を伸ばしてみてください。
体幹トレーニングを鍛えるトレーニングはサブ3達成するランナーも積極的に取り入れているトレーニングですから、あなたもぜひ取り組んでみてくださいね!
筋トレ(下半身)の効果をより高めるには?
筋トレの効果をより高めるには、普段の食事や筋トレ後の過ごし方で変わってきます。
せっかく頑張ってトレーニングしたものを無駄にはしたくないですよね?
ランの後に疲れを残さないようにクールダウンして、ストレッチをしたりするのと同じように、筋トレをした後の食事や過ごし方を気にするようにしましょう。
筋トレ後30分以内に食事をする
筋トレ後の30分はゴールデンタイムと呼ばれ、トレーニングで傷ついた筋肉を回復してくれやすくなります。
筋肉の材料になるタンパク質の吸収が高くなるので、筋トレ後30分から遅くても1時間以内には食事をするようにすると筋肉が回復しやすくなります。
筋トレで不足したタンパク質、ビタミン、炭水化物(糖質)、ミネラルといった栄養素をバランスよく摂取することが大切です。
それぞれの栄養素をまとめたのでそちらも参考にしてください。
タンパク質・・・肉、魚、卵や納豆など
ビタミン・・・豚肉(ビタミンB1)、牛乳(ビタミンB2)、レバー(ビタミンA)、アーモンド(ビタミンE)
炭水化物(糖質)・・・パン、米、麺類など
ミネラル・・・長芋、インゲン、レバー、あさり
筋トレ後に食事をすることで効率よく筋肉を生成してくれます。
30分以内にバランスのいい食事を摂取するのが難しいという人は、サプリメントやプロテイン、近くのコンビニなどでおにぎりやオレンジジュースを飲むだけでも、筋トレの効果を高めてくれます。
食事の仕方についてはこちらの記事でも紹介しているので、是非参考にしてみてください。
筋トレ後にストレッチをする
筋トレ後にストレッチをすることで、筋肉にたまった疲労物質を排出してくれる働きをしたり、硬くなってしまった筋肉をほぐすことが出来ます。
そうすることで筋トレ後の筋肉痛の痛みを抑えたり、筋肉の回復速度や成長速度を高めてくれるようになります。
筋トレのあとは身体も温まっていて、柔軟性を高めるチャンスでもあるのでこの時にストレッチをして、筋肉にしなやかさを生み出したり、股関節や足首を柔らかくすることで怪我や故障もしずらくなります。
ハムストリングやふくらはぎといった下半身を中心にしたストレッチ方法をまとめた記事もあるので、そちらを参考にしてください。
筋トレ(下半身)をする頻度は?
筋トレをする頻度としては、週に2〜3回程度で毎日行わず「月、水、土」など間隔を空けて行うようにしましょう。
トレーニング後48~72時間休息をとることで、傷ついた筋肉が成長する時間を確保します。
鍛える部分を部位ごとに変えるのであれば、週5、6のペースで行ってもいいですが、今回は下半身の筋トレで鍛える部位が似てくるので毎日は避けるようにしましょう。
筋トレ(下半身)で注意するべき点
下半身の筋トレをする時に注意しないといけない点がいくつかあります。
間違った筋トレ方法は、ランナーにとって不要な筋肉を鍛えることにも繋がり、「身体が重くて思ったように走れなくなった」なんてことも十分にあり得ます。
また、筋トレのやり方が正しくないと膝や腰に負担が大きくかかったりして、怪我や故障の原因になることもあるので注意しないといけません。
筋トレをする時に気をつける点を3つ挙げました。
間違ったフォームで続けないこと
間違ったフォームで筋トレを続けると怪我や故障の原因にも繋がります。
例えばスクワットでつま先が正面を向いていなかったり、膝がつま先より前に出るようなトレーニングが続くと、膝への負担が増え怪我をしてしまう場合があります。
このように間違ったフォームで行うと、目的と違った部分の筋肉がついたり、怪我や故障をする原因にもなるので正しいフォームを心がけましょう。
特に負荷のかかるようなトレーニングや、3セット目の辛くなってきたタイミングでフォームは崩れやすくなるので注意してください。
間違ったフォームが続くようであるなら中断して、別の補助トレーニングを行うようにしましょう。
自分の身体に合った練習量、強度でやる
下半身の筋トレは自分の身体や体調に合った練習量、強度でやることをオススメします。
なぜかと言うと、自分に合っていない無茶な筋トレは身体を壊してしまう可能性もあり、筋トレ自体が嫌なものと捉えてしまうようになるからです。
初心者ランナーであれば最初は1セットぐらいに留めたりして、「ちょっとキツイけど頑張ったら達成できる」ぐらいのトレーニングにしましょう。
今取り組んでいる筋トレが、普通にこなせるくらいになってきたら回数を増やしたり、セット数を増やしたりして徐々に強度を上げていくようにするといいです。
膝や腰が痛み出したら即中断
筋トレを行う中で、膝や腰などの関節に違和感を感じたり、痛みを感じだしたらトレーニングを即中断するようにしましょう。
筋トレのやり方が間違っていたり、負荷をかけすぎている場合があります。
ランナーにとって怪我や故障は一番避けたいもので、特に膝や腰といった関節の痛みは長期的に付き合っていかないといけないものになったり、一度痛めると何度も痛めやすくなったりする場合があるので注意が必要です。
もし、筋トレ中や筋トレ後で違和感を覚えるようであれば、すぐに筋トレの内容を見直したり中断するようにしてください。
下半身の筋トレをするだけでは返って逆効果
ここで伝えたいのが、下半身の筋トレだけをすることは返って逆効果ということです。
普段のラントレーニングの補助トレーニングとして行うもので、下半身の筋トレをメインにトレーニングしてしまうと「筋トレに集中しすぎてランの感覚を忘れてしまった」「筋トレのしすぎで逆に身体が重たくなってしまった」なんてことになってしまうからです。
ボディビルみたいなランに必要ない筋肉をつけるのではなく、ランのタイムを更新するための補助トレーニングということは忘れないようにしていただきたいです。
マラソンランナーにとって必要な筋トレをまとめた記事もあるので、合わせて見てみてください!
下半身の強化でタイムを大幅に更新しよう
下半身の強化をちゃんと行えば、自身のタイムを更新するようになるのは間違いないでしょう。
タイムに伸び悩んでいたランナーも、下半身の筋トレ方法の具体的なやり方を知らなかったランナーもこの記事を何度も読み、実際に下半身の筋トレを行ってみてください。
走るだけのトレーニングだけではなく、こういった補助トレーニングもタイムの更新には欠かせません。
下半身の強化をして、記録更新に伸び悩んでいる自分とはここでさよならしましょう!