マラソン最中の脇腹の痛み(差し込み)は、ペースを乱しタイムに影響が出てしまう
マラソンやランニング中に気持ちよく走っていたのに、ズキズキと脇腹が痛くなってきた...。
ランナーであれば一度は経験したことある痛みですよね?
僕もよくラン中に脇腹が痛くなってきて、手で押さえながらも完走したこともあります。
「あそこで脇腹が痛くならなければ無駄に体力を消費することなかったのに...」「あのままいけばタイムの記録更新が狙えたのに...」なんて、何回も味わった経験です。
せっかく頑張ってきた今までのトレーニングの積み重ねが、脇腹の痛みで台無しになってしまうのは一番避けたいですよね。
トップランナーでも油断すると起こるこの脇腹の痛みもいくつか原因が考えられるのを知っていましたか?
今回はそのいくつかの原因やその解決策、脇腹が痛くならないための予防トレーニングを解説していきます!
気持ちよく走って、今までのトレーニングの最大成果を本番で発揮できるようにするためにもこの脇腹の痛みとの付き合い方を学んでいきましょう。
脇腹が痛い(差し込みの)原因は左右で違う?
実はこの脇腹の痛み、左右どちらに痛みが出るかでその原因が違うことが分かりました。
脇腹が痛くなったとしても、左右どちらが痛いかまでは確認する人は少ないし「走っている途中で痛くなったな...」ぐらいまでしか覚えていない人が大半です。
他にも、マラソンやランニングが終わって放置すると勝手に痛みも治ることから、脇腹の痛みを気にして問題視しようとする人も多くはないのではないでしょうか?
もし、レース本番で脇腹が痛くなってしまったらどうしますか?
瞬時に脇腹が痛くなった原因を理解し、素早く正しいケアを行ってレースに復帰するためにも、この脇腹の問題には真剣に向き合いましょう。
右脇腹が痛い原因は「横隔膜の痙攣」の可能性
右脇腹が痛くなった原因として考えられるのが、「横隔膜(おうかくまく)の痙攣」です。
横隔膜とは、胸腔(きょうこう)と腹腔との境にある弓状をした筋肉性の膜で呼吸をする際に重要な役割を担ってきます。
マラソンやランニングでペースを上げたりすると、大量の酸素を取り入れないといけなくなるため激しい呼吸運動になり、この横隔膜を押し下げる働きが激しくなります。
横隔膜は筋肉なので使いすぎて痙攣すると、右脇腹に痛みを感じるようになってきます。
また、横隔膜は体の中で最も重い肝臓(男性だと1.5kg、女性だと1.3kg)とじん帯で繋がっています。
マラソンやランニングの衝撃で肝臓が揺れ動くことで横隔膜も引っ張られ、右脇腹に痛みを生じることもあります。
右脇腹を痛めるケースとして、慣れてない運動量で走っている(オーバーワーク)場合が多いです。
左脇腹が痛い原因は「大腸にガスが溜まっている」かも?
左脇腹が痛くなる原因として考えられるのが、「大腸にガスが溜まっている」場合があります。
大腸内のガスは、普段の呼吸や食事の時に口から飲み込んだ空気と腸内の発酵によって発生するものですが、そのガスは走っている最中に溜まりやすくなります。
なぜかというと、走っている最中は大腸より筋肉に血液がいってしまうため、腸内の働きが止まるからです。
左の脇腹には大腸の大きな曲がり角が存在しており、その部分にガスが溜まって大腸が膨らむことで左脇腹が痛くなるケースがあります。
左脇腹が痛い原因は「脾臓(ひぞう)が腫れている」場合もある
左脇腹が痛くなるもう一つの原因として考えられるのが、「脾臓(ひぞう)が腫れている」可能性があります。
血液をためておく脾臓は腹腔の左上部で胃のうしろ側に存在していて、この脾臓がオーバーペースによって心拍数が高くなり、血液循環が追いつかなくなると右脇腹に痛みを生じます。
脾臓の機能が弱まっていたり、ランで脾臓が揺れ動くことによって右脇腹に痛みを生じる場合もあります。
脇腹ではなくお腹中心に痛いときの原因は?
左右どちらかの脇腹に痛みを生じるのではなく、お腹の上部や下部、中心で痛みを生じるようであれば「胃の消化不良」が考えられます。
胃に食べ物が残った状態でマラソンやランニングで衝撃を与えると、胃に圧力がかかり痛くなるケースがあります。
「走る2時間前に食事は控えましょう」とよく言われると思いますが、それはこの胃に食べ物が残って負担をかけないようにするためです。
脇腹に止まらず背中側まで痛くなった場合は?
もし、脇腹に止まらず背中側まで痛いなと感じた場合は、少し脇腹の痛みとは変わり注意しないといけません。
マラソンやランニングをしていると、腕振りで肩甲骨や広背筋を使うことが多く「背筋痛」になるランナーも多いです。
背筋痛を疑うのもいいですが、背中の痛みは内臓疾患からきている場合もあるので、もしレース中に痛くなり始めたら中断することも検討してください。
背中の痛みが治らない場合はすぐに内科病院へ向かってください。
ラン中に脇腹が痛くなってしまった時の解決策・対処法
万全な状態でレースに挑んだとしても、「あれ、おかしいな...。脇腹が痛くなってきた。」みたいなアクシデントが起きてしまう場合があります。
では、マラソン、ランニング中に脇腹が痛くなってしまった場合はどうしたらいいでしょうか?
マラソン、ランニング中に脇腹が痛くなった時の解決策・対処法をお話ししていきます。
痛むほうの脇腹を伸ばそう(側屈)
痛い側の腕を上げて反対側に倒すようにして、脇腹を伸ばすようにしましょう。(側屈)
これは左右どちらの脇腹痛くなった場合でも効果的です。
反対側に腕を倒し30~60秒をキープすることで、痛みが緩和されます。
横隔膜の痛みの場合、右脇腹を伸ばすことで横隔膜のストレッチになります。
また、腸にガスが溜まっている場合でも、左脇腹を伸ばすことで腸の曲がり角のスペースを広げることでガスを逃すことが出来ます。
これなら少し体勢は崩れますがマラソン、ランニング中でもストレッチしながら走り続けることが可能です。
深呼吸で呼吸を整えよう
深呼吸をして呼吸を整えることで、脇腹の痛みを緩和することが出来ます。
脇腹の痛みは呼吸に関係していることが多いので、まずは立ち止まって大きく深呼吸することが重要になってきます。
深呼吸で脇腹の痛みが少し緩和されたという人もよく耳にするので、場合によってはレースの途中やランニング後に深呼吸することをオススメします。
腸に溜まったガスを押して逃がそう
腸にガスが溜まり左脇腹が痛い場合は、実際に左肋骨下にある腸を服の上から押したりしてガスを逃がすことをしてあげましょう。
先ほども話したように、痛くなった側の腕を上げて腸の曲がり角のスペースを広げることで、溜まっていたガスを逃すことも出来ます。
ただ、それでも痛みが引かない場合は腸を実際に服の上から押したりしてガスを逃がすようにしてあげることで脇腹の痛みが緩和されます。
それでも痛い場合はペースを落とそう
どうしても痛みが引かない場合は、走っているペースを落として脇腹の痛みを緩和しましょう。
脇腹が痛くなる原因として、いつもと違う速いペースで走ってしまった時に引き起こすことが多いです。
速いペースで強い呼吸が長時間続いたりすると、筋肉が痙攣してしまったり、肝臓や脾臓が揺れ動くことで脇腹が痛くなる可能性が高くなります。
走っているペースを落とすことで呼吸や筋肉を休め、脇腹の痛みを緩和することが出来ます。
脇腹が痛くならないようにする対策・予防トレーニング
走っている最中に脇腹が痛くならないようには、マラソンやランニング前の対策や予防トレーニングをすることで少しでも脇腹の痛みを防ぐことが出来ます。
無駄な体力を削がれることなくレースを終えられるように、脇腹が痛むリスクを最大限減らす対策や予防トレーニングをしましょう!
胃に残るような食事は控えよう(走る2時間前は避けたい)
マラソン、ランニングをする2時間前の食事は控えるようにしましょう。
ご飯を食べてからすぐ走って後悔した経験もある人も多いのではないでしょうか?
食べ物が消化されないまま胃に残ったままで走ると圧迫感を感じ脇腹が痛くなります。
また、食べ物の種類にもよりますが胃の中に滞留する時間は、消化の早い食べ物で約1時間、遅い食べ物だと約5時間と言われています。
平均的に日本人が摂取する多くの食べ物は約2~3時間で小腸へ送られるので、マラソン、ランニングをする2時間前の食事は出来るだけ控えるようにしましょう。
どうしても胃の中に何かエネルギーとして蓄えたい場合は、消化の時間がかかる固形物ではなくゼリーや飲料など消化に早いものを選ぶことで脇腹が痛くなるリスクを減らすことが出来ます。
ガスが溜まりやすい高繊維食や炭酸飲料はラン前は避けよう
腸内環境を促進する高繊維食やガスが溜まりやすい炭酸飲料は、ラン前4~5時間前に摂取することは避けましょう。
食物繊維を摂取しすぎたり炭酸飲料をガブガブ飲み過ぎると、腸にガスが溜まりやすくなり脇腹を痛めるリスクが高まります。
特に、野菜や果物、ナッツ類といった高繊維食はラン前には避けるようにしてください。
摂取する場合は、パンやヨーグルト、ゼリーといった糖質が高く消化が早いものがオススメです。
ウォームアップで体を慣れさせておこう
ウォームアップを息が上がるくらいまで済ませておくことで、レース中にペースを上げても脇腹が痛くなることなく走ることが出来ます。
レース前のウォームアップが不足していると、走り出した時に脾臓の血液が急激に押し出されて、血液循環が追いつかなくなると右脇腹に痛みを生じます。
レース前のウォームアップは、ラン中の脇腹が痛くなるリスクも避け、怪我や故障するリスクも避けられるのでしっかりと体を温めることが大切になってきます。
下記の記事にも、レースで失敗しないウォームアップ7STEPをまとめてあるので参考にしてください。
7つのウォームアップを覚えてパフォーマンスを発揮しやすい状態を作ろう!
・インナーマッスルを鍛え痛くなるリスクを減らそう
インナーマッスルを鍛えお腹周りの筋肉を強化することで、肝臓や脾臓の揺れを抑え、脇腹の痛みのリスクを減らすことが出来ます。
お腹周りの筋肉を鍛えるには、体幹トレーニングとしてプランクがオススメです。
プランクのやり方は下記の通りです。
①左右の両肘、つま先を床につけ、腕立て伏せの姿勢になる
②肩からかかとまで一直線になっている姿勢をキープ(お尻が上がらないようにする)
③お尻をキュッと閉めて、腹筋に力を入れるイメージ
プランクは、30秒を3セット行うようにしましょう!
下記の動画や記事でも、お腹周りの筋肉を鍛えるプランクのやり方を詳しく説明しているので、ぜひ取り組んでみてください!
脇腹の痛みを無くしてレースを順調に進めよう
マラソンやランニング中の脇腹の痛みは、ペースを乱してしまいタイムに影響が出てきます。
脇腹の痛みはどんなタイミングで痛くなってくるか分からないし、もし痛くなってしまったら精神的にも肉体的にもかなりダメージを与えられます。
せっかく頑張ってきた今までのトレーニングが水の泡になって消えてしまわないように、脇腹が痛くなってしまった時の対処法を知ることや、脇腹が痛くならないための対策・予防トレーニングをして、気持ちよくレース本番を迎えましょう!
あとは、今までやってきたトレーニングを信じて思いっきり走るのみです!