【マラソン】ポジティブスプリットvsネガティブスプリットどっちでいく?ペース配分の決め方
今回は、ネガティブスプリットとポジティブスプリットのそれぞれの特徴とレースで結果を出すためのペース配分の設定方法について解説していきます。
ネガティブスプリットは後半重視のペース配分
ネガティブスプリットとは、前半よりも後半のペースが早いことを言います。
あなたもフルマラソンを走っていて、「前半のうちに力を使い果たして、後半失速した」という経験があるんじゃないでしょうか?
そうなってしまうと、レース後半は本当にキツくなります。20km付近で失速してしまったら「残り20kmもあるのか・・・」と距離に絶望して苦しさが残ります。
その結果は、目標タイムに届かないどころか、最悪の歩いてしまったり立ち止まってしまい人に大失速を招くことがあります。
その苦しさから解放してくれるのがネガティブスプリットです。
ネガティブスプリットは、スタートから徐々にペースを上げていき、レースの前半でペースを維持、体力を温存し、後半に力を残しておく走り方です。
ネガティブスプリットにすることで、スタート直後の渋滞を気にする必要がなくなります。
無理に追い抜きをしなくて済むので、無駄に体力を消耗しなくてもいいというメリットがあります。
名前を聞くと一見「ネガティブって名前を使うくらいだから悪いものなんですか?と思うかもしれません。
しかし、レースの展開としては、自己記録を狙いやすいポジティブなレース戦略です。
ポジティブスプリットは前半重視のペース配分
前半よりも後半のペースを上げて走ることを指す呼び方です。
例えば、サブフォーを目指すランナーだとしたら、フルマラソンを4時間以内に走る必要がありますよね。
前半は1時間30分で走り、後半は2時間30分で走るというような走り方です。
要するに、後半でどんなに遅くても、失速してもゴールの時点で目標タイムが切れればいい、という発想でもあります。
ポジティブスプリットと前半飛ばすばかりの走り方はベツモノ
前半で貯金を作りそのまま逃げ切るようなペース配分になります。
なお、多くのランナーが勘違いしやすいポイントなのですが、ポジティブスプリットと後半で大幅にペースが落ちて失速してしまうのは別物です。
なぜかというと、ポジティブスプリットは、計画的にスピードを落としていくペース配分の方法だからです。
「次のレースのペースはポジティブスプリットでやってみよう!」としても前半に自分の実力を大幅に上回るハイペースで走り、
後半苦しみながら歩いたり、立ち止まるようなペース配分はポジティブスプリットとは言えません。それはただの失速(ペースダウン)です。
サブスリーを切る上流市民ランナーや箱根駅伝・実業団で走るようなトップランナーを含めて、ほとんどのランナーが、後半にペースが落ちます。
後半になればなるほど足に疲労が溜まりますし、体力も精神も消耗するので走りにくくなります。
自分なりにペース配分をしたつもりが、思ったよりも走れずに狙った以上にスピードが落ちて失速。これがよくあるパターンです。
このせいでポジティブスプリットはイメージが悪いのですが、本来のポジティブスプリットは計画的にスピードを落とすのですから、精神的な余裕を持って走ることができます。
あくまでも、ペースが落ちても、後半も走り続けられるペース配分は必要になっていきます。
ポジティブスプリットvsネガティブスプリット、どっちがいい?
リスクを伴うポジティブスプリット
例えば、サブ4を狙う場合は、イーブンペース(一定のペースで走ること)でキロ5分40秒くらいが目安になります。
例えば、フルマラソンをキロ5分30秒で走れるランナーが、ポジティブスプリットで前半を5分程度に走り、後半をキロ6分で走るのは簡単そうに見えるかもしれません。
しかし、フルマラソンの30km以降では、前半でペースを上げれば上げるほど、後半必ず足が動かなくなります。
特に脚が動かなくなった際のペースはコントロールが難しく、普段キロ4分台で走られるランナーでも、キロ6分以上にも落ちることがあります。
ポジティブスプリットは、後半の落ち込み具合が読めないことと、後半疲れた時の苦しみが相当なものになることを覚悟した、いわば賭けのようなレースになると思います。
うまくはまれば記録更新につながりますが、自分の走力を見間違うと、後半地獄のような苦しみを味合う可能性があります。
ネガティブスプリットでも最後はペースが落ちる
確実にタイムを狙うのであれば、精神的にも楽に走られるネガティブスプリットをおすすめします。
ネガティブスプリットでの注意点は、前半おさえても、距離や、走行時間により蓄積した疲労で、ラスト5kmくらいはやはり脚にくるということです。
前半おさえて余力を作ったとしても、後半が、自分の10kmのベストタイムのようなペース
設定をしてしまうと、到底走られません。
ラスト5kmは、少しペースが落ちることを前提に、25km〜35kmをいかに早く走り抜けるかの設定が理想です。
どちらのペースで走るかどうかを明確にする
実際にネガティブスプリットで結果を出しているランナーさんも少なくありません。だからといって、全てのランナーがネガティブスプリットに向いているわけではありません。
ネガティブスプリットをしようと思っていても、後半にスピードに乗れずに力を出しきれずに終わってしまうランナーもたくさんいます。
大事なのは自分がネガティブスプリットとポジティブスプリットどちらを狙って走っているのかを明確にすることです。
何も考えずにスタートして、雰囲気に合わせてネガティブスプリットかポジティブスプリットを選ぶというのでは、失敗レースになる可能性が高くなります。
ネガティブスプリットにしてもポジティブスプリットにしても、それに合わせた練習をする必要があります。
例えば20km走や2時間走をするときに、どちらの走り方をするか意識して練習し、それを実践するのがレースになります。
あえてどちらがいいかと聞かれると、参加者が多い大会ではネガティブスプリットがおすすめです。
特にサブ4くらいを狙うランナーの場合は、スタート直後の渋滞によって、ポジティブスプリットにしようと思うと気持ちばかり焦ります。
最初はゆっくりでいいと自分に言い聞かすことができるネガティブスプリットのほうが、精神的に楽に走ることができます。
ただし、目標タイムに届かせるためには5kmごとの平均タイムくらいはしっかり計算しておきましょう。
感覚でスピードを上げてしまうと、それも失速につながります。
計画的に走るにはタイムではなく心拍数
ネガティブスプリットにしてもポジティブスプリットにしても、重要なのはどれだけの負荷が体にかかっているかということです。
コンディションは日々違いますので、「いまキロ4分20秒だから少し速い」というような判断では42kmの長丁場をうまく走りきることが難しくなります。
では、どうすればいいのか?
自分の体への負荷が最も分かりやすいのが心拍数です。
コンディションがいいときはスピードが速くても心拍数はあまり上りません。反対に練習などで負荷をかけすぎたときは簡単に心拍数が上がります。
風邪などを引いたときも心拍数は高くなります。
このように心拍数を目安に負荷の増減を行うことでネガティブスプリットでもポジティブスプリットでも思うようにペースを操ることができるようになります。
最近はGPSウォッチでも心拍数を測ることができますので、GPSウォッチを買い換えるときには心拍数を測れるものを選ぶようにしてください。
心拍数管理をすれば日頃のトレーニングでも負荷を変えやすく、メリハリのある練習ができます。
自分に合ったレースペースを判断する方法
自分のレベルに合ったペースを見極める方法の1つに、30km走があります。
30kmを走り終わった時に余力がどれくらいあるのかを見極めます。
例えば、30kmを走り終わった時点で、「まだ行けるな」と余裕があるくらいの疲労度なら、ポジティブスプリットのペースでも機能するでしょう。
逆に、30kmの時点で「ゼエゼエ」といっぱいいっぱいのペースだったとしたら、フルマラソン42.195kmの30km以降でもペースがガクッと下がる可能性があります。
そうなるくらいなら、前半のペースを落として後半で徐々に上げていくネガティブスプリットの方がタイムを伸ばしやすいでしょう。
30km走では、レースに近い状態で走ることになるので、非常に疲労が溜まりやすい練習なので、レース直前に走るのは控えておきましょう。
フルマラソンのレース本番の3週間前くらいに今の自分のレベルを確かめるために30kmを走ってみて余力具合を見てみます。
そこから次にあなたが出るレースで、ポジティブスプリットで行くか、後半で追い上げるネガティブスプリットのペースで行くか決めるといいでしょう。
自分の実力に合ったレースペースでフルマラソンに挑もう
今回は、ネガティブスプリットとポジティブスプリットのそれぞれの特徴とレースで結果を出すためのペース配分の設定方法について解説しました。
基本的な戦略としては、後半でペースを上げていくネガティブスプリットがおすすめです。
しかし、いちばん重要なのは、ネガティブスプリットとポジティブスプリットどちらを狙って走っているのかを明確にすること・自分の実力に合ったペース配分をしていくことが大事です。
何も考えずにスタートして、雰囲気に合わせてネガティブスプリットかポジティブスプリットを選ぶというのでは、失敗レースになる可能性が高くなります。
しっかりとしたペース配分・レース攻略の戦略を立ててから、フルマラソンのレースに挑むようにしましょう!