夏の練習は暑くてすぐにバテてしまう。けど、11月の大会まであと数か月だから調整もしていかなくては...
だからこそ夏は短い時間でも、ペースを落としてでもとにかく練習をこなすことを意識しましょう。
そこでおすすめなのが短い時間で集中して行えるスピード練習です!
マラソンで大事な要素は「持久力×スピード」です。持久力だけあって、長い距離、長い時間を走れるだけではいけません。
逆に、スピードだけあっても、すぐにバテて足が動かなくなって走れなくなってしまっては記録を出す点においては不十分です。
「ただ走っていれば長く速く走れるようになる」というわけではありません。それぞれに適した練習やトレーニングがあるのです。
完走することが目的ではなく、より速く走り切り目標タイムを叩き出したい!というランナーはスピード強化も行っていきましょう!
マラソンにスピード練習の重要性
実際にレースで出すペース以上のスピードで走る意味はあるのでしょうか?
あなたが今よりも速いタイムでマラソンを完走したいのなら、スピード練習は絶対に取り入れるべきです。
フルマラソンの場合は42kmをギリギリ走り切れるペースで走っていきます。42kmをずーっとダッシュし続けるのはムリですよね?
まだ、ペースを上げられるくらい余裕のある「通常ペース」で走っていきます。
スピード練習によって、その通常ペースを上げることができます。
それだけでなく、効率の良いフォームを身につけることもできます。スピードを出すための大きなストライド、大きな腕振りを行うことで、全身を使った走りが自然と現れます。
長い距離をひたすら走り続けるだけでなく、スピード練習を織り交ぜていくことで、効率的にトレーニングができるのです。
では、夏場はどうやってスピード練習を組み込んでいけばいいのでしょうか?
夏にスピード練習をするのはアリ?ナシ?
夏の間は、秋のシーズンに向けてスタミナを養うために出来るだけ長い距離を走っていきたい時期でもあります。
しかし、朝晩の涼しい時間帯も限られています。
木陰を走るクロスカントリー走などをうまく使い距離を稼ぎながら、スピード練習でコンパクトに負荷をかけていく工夫が必要になる時期です。
「わざわざ暑い夏にスピード練習をする意味ってあるの?」
そう思われる方も多くいますが、暑い夏だからこそ、スピード練習がおすすめな理由があるんです!
暑い時間を避けて短い時間で効率的にラントレ!
7月~9月は日中走るには、熱中症の危険が伴います。そもそも、灼熱の中、走れたものじゃありません。体調にも精神にも大きなダメージが残ります。
だからこそ、短い時間で効率的に負荷の書けられるスピード練習はおすすめです!
朝の日が昇る前や日没後など、涼しい時間を選んで、短い時間でトレーニングを行っていきましょう。
秋のレースシーズンを見越して速筋強化!
先ほど遅筋と速筋の話をしました。実は速筋の中には、持久力も兼ね備えた中間筋繊維というものが含まれます。
スピード練習によって、速筋全体を鍛えてから、スタミナ練習によって中間筋繊維の持久力をupさせることで、より速く長く走ることができる筋肉になっていくのです。
スタミナメインの夏はフォームが小さくなりがち
夏場はスタミナ強化の練習がメインになってきます。
涼しい時間を使ってのロング走、LSD、ジョグを行なってなるべく距離を稼ぎましょう。
しかし、こう言ったペースの遅い練習をしていると、ストライドや腕振りが小さくなりがちです。俗にいう「小さなフォーム」になっていきます。
だからこそ、スピード練習を取り入れ、ダイナミックに腕や足を大きく動かす、大きなフォームを取り戻す必要があります。
夏場のスピード練習の頻度
夏のスピード練習は週1回を目安に行いましょう。
スピード練習はジョグのペースよりもスピードが速い分、大きな衝撃がかかり負荷も大きくなります。
そのため、スピード練習のやり過ぎは禁物です。足底や、膝、腰に負荷がかかり故障の原因になります。
練習自体が週1回の場合は、普段の練習をスピード練習に置き換えたり、普段のジョグの終わりにペースを上げてスピード練習を行うといった工夫も可能です。
スピード練習のメニュー4選
「スピード練習って具体的にどうすればいいの?」そんな疑問にお答えする、スピード強化メニューをお伝えしていきます!
ウィンドスプリント
取り入れやすく初心者にもおすすめなのがウィンドスプリント走。ウィンドスプリント走とは、文字通り「風(ウィンド)」のように軽快に走っていきます。
全力疾走の80%くらいの速さで100m~300mを走っていきましょう。
大きなストライド、大きな振りで全身を使って走っていきましょう。フォームが意識できる速さでスピードを出すことによって、自然と大きく伸びやかに進んでいくフォームが身につきます。
LSDなど長い距離をゆっくり走る練習だけしていると、弾むようにスイスイ走る感覚を忘れがちです。それを予防するためにもウィンドスプリントを取り入れるのは効果的です。
インターバル走
酸素を体に取り込む心肺機能や、乳酸性作業閾値(LT値)を効率よく高め、速いペースでも疲れにくくなるのがインターバル走です。
速いペースでのランニングと、ゆっくりのペースのジョグを繰り返すのがインターバル走です。
1000mの疾走で心拍数をあげた後、200mのジョグで息を整える。これを5~10セット行いましょう。
目標のレースペースよりも10~20秒ほど速いペースで走りましょう。目標がサブ4なら、1000mを5分20~30秒で走るといった練習が効果的です。
ペースの設定が難しければ、普段よりペースを速くして息が上がるくらいで走り、息が整うまでジョグ、この繰り返しでも構いません。
レペティション
全力疾走と、完全休憩を繰り返すのがレペティションです。着地時の衝撃が大きいので、コンクリートではなく、芝生の上やトラックで行うことをお勧めします。
全力疾走によってスピードを出すための筋力が強化できます。乳酸の除去能力が強化され、通常ペースの底上げにも大きな影響があります。
「800mの全力ダッシュ→止まって休憩」これを繰り返します。
体に乳酸がたまり、かなりハードなトレーニングになります。十分なウォーミングアップも必要になります。市民ランナーが一人で行うには相当な覚悟と精神力が必要になります。
坂道ダッシュ
坂道の多いコースの対策にもなりますが、それだけでなく、地面からの反発を得てスイスイと前に進める筋力を手にするためにおすすめなのが坂道ダッシュです。
力強く地面を蹴る、真下にしっかりと踏むためには筋力が必要になってきます。さらに、高い負荷をかけられるので、心肺機能の向上にも繋がります。
傾斜がつけばつくほど負荷は高くなるので、最初はゆったりとした坂から初めて、自分にあった傾斜を探してみましょう。
走らない!?夏メニューのスピードトレーニング3選
「どうしても、暑くて走れない…」そんな日もあるとおもいます。
そんな時は走らなくても行えるスピードupのメニューを行うのもオススメです。
木陰や室内でも秋のマラソンシーズンに向けたトレーニングを行うことも可能です!
筋力トレーニング
「筋トレはちょっと苦手で…」
「マラソンに筋トレって必要あるの?」
そんな風に思っているあなたも、猛暑で走れない日には室内で取り組める筋トレを取り入れてみてはいかがでしょうか?
何十kgと重たいウェイトを担ぐ必要はありません。ランナーにとって必要な筋力は、自分の体重のみで行う自重トレーニングで十分トレーニングできます。
着地の際には、体重の2倍の負荷がかかるって知ってましたか?その負荷に耐えうる筋力は最低限必要です。
着地の負荷に耐え、しっかりと地面を踏みエネルギーを跳ね返すことができれば、スイスイと前に進む軽快な走りを手に入れることができます。
絶対に行うべきなのがスクワットです。
ランニング動作のメインとなるお尻と太もも裏側の筋力を同時に鍛えられるのがスクワットです。
家の中でも、布団1枚分のスペースで行うことのできる万能トレーニングです!
体幹トレーニング
「体幹が大事!」というのは聞いたことがあると思います。なぜ、大事かどうかわかりますか?
体幹というのは、両肩と両股関節を結ぶ四角形(簡単に言えば胴体)のことを言います。人の手足は体幹から生えており、手足を動かす土台となっています。
手足を大きく動かして走っていくには、体幹をしっかりと安定させる必要があるのです。
体幹の基本、プランクから始めてみましょう。
神経トレーニング
「神経トレーニング?なにそれ?」と感じる人も多いと思います。
筋トレはわかると思いますが、神経トレーニングとは一体、なんなのでしょうか?
筋肉は、脳の指令を受けて動きます。この筋肉の動きが速ければ大きな力でます。
ゆーっくり膝を曲げ伸ばししても、ジャンプはできません。ジャンプするには曲げた膝を素早く伸ばさなくてはいけませんね。
ランニングでも、素早く足を振り下ろし、後ろに蹴り出すことができればその分、たくさん前に進むエネルギーが得られます。
この脳の指令を受けて筋肉が動くスピードを速めることができるのが神経トレーニングです。
神経トレーニングは反動を使ったトレーニングがメインです。
20mくらいの距離を、ショートダッシュやスキップで往復することで鍛えられます。軽快に軽々走るランナーはしっかりとこのトレーニングを積んでいますよ!
夏場は日陰を探して、神経トレーニングを行うのもオススメです!
夏場はスピード練習で練習を効率化!
「夏は暑さとの勝負!!」
「暑さに耐えて走った奴が勝つ!!」
そんな風に思っていませんか?無理して、体調を崩しては元も子もありません。
夏は、いかに暑さを避けて、「いかに効率良く、練習をこなせるか」が大事です。
ペースを落としてもいいから、とにかく走る。時間を短くしてもいいからとにかく走る。これが大事になってきます。
ペースを落とした分、最後にウィンドスプリントを取り入れたり、インターバル走で負荷をかけて涼しい時間帯に練習を終わらせたり、スピード練習を効果的に取り入れていきましょう!