マラソン中、足首の上側に痛みが生じる理由と対処法とは?

練習終わりに突然、足首の上側が痛くなるんですが…

「練習終わりになぜか足首の上側が痛みます。
歩いている時は気にならなくても、走ったときや押して触ってみるとズキンと痛みが走るんです

マラソン歴2年、週3回程度10kmを走る市民ランナーの高橋さんが打ち明けてくれた悩みです。

 

練習終わりに突然、両方の足首の上側辺りが痛くなった経験がありませんか?

痛みが気になってしまうと練習にも打ち込めず、様子見ながら練習したり、軽めのジョギングしかできず億劫になりますよね。

 

「なんで足首の上辺りが痛くなるんだろう?」
「これ、大丈夫かな?」
そんなふうな不安を抱えているんじゃないかと思います。

 

今回の記事では、ランニング終わりに足首の上側辺りに痛みを感じたことがあるマラソンランナーに向けて書いていきます。

足首の上側の痛みがなぜ出るのか?理由や原因を正しく理解して痛みのタネを取り除くことができれば、不安は解消されます。

痛みの対策法も教えていくので、適切な処置を行なって痛みを取り除き、以前のように思いっきり走れる身体に戻していきましょう。

 

足首の上側が痛くなるワケ

そもそも、なぜ走っていると足首の上側が痛くなるのでしょうか?

痛みが再発しないようにするために、痛みの原因の部分から解説していきます。

足首の上側(前側)に痛みが生じる原因は、距骨(きょこつ)と呼ばれる骨が、前に飛び出てしまっているためです。

 内くるぶしと、外くるぶしの間に収まっている状態なら、足首の曲げ伸ばしはスムーズに行えます。

 距骨が前に飛び出してしまうと、足首を曲げた際に、両くるぶしが作る天井に距骨がぶつかってしまいます。

こうして骨同士がぶつかり炎症を起こすので、痛みが生じます。

距骨の調整法はこちら

 

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着地の瞬間、全体重が足首にかかります。足首のケアを怠ると、足首だけでなく膝痛、腰痛にもつながっていってしまうのです。足首を構成している28個の骨の位置が少しずれるだけで、その上にあるスネの骨が傾き、膝、股関節、腰と連動して歪んでいきます。

 

 

足首の痛みの発生要因

足首は、小さな骨と太くて短い靭帯で全体重を支える仕組みになっています。歩く、走る、跳ねるといった自由なフットワークを可能にしています。

ランニング中、足首にどれだけ負担がかかっているか知っていますか?実は、走っているときに足首にかかる衝撃は体重の約3倍と言われています。
つまり、体重が50キロなら、片足にかかる負担は1歩で150キロ。体重が70キロなら、1歩で210キロ。

体重を支えている足首には大きな負担が生じています。ランナーにとって重要な存在でありながら、痛みやケガのリスクを抱えているのが、足首なのです。

 

ラン中の筋肉負荷

人間の足とは、他の体の部位とは違い、地面からの衝撃や重心の影響を真っ先に受けるのでランニングでは特に着地時、足へのダメージを受けやすくなります。

足首が痛む理由の一つに、足首の筋肉が不足しているということです。足首の筋力が足りないままで走り続けると痛みが発生しやすいです。
例えば、コンクリートやアスファルトの硬いコースで走ることが多いと、膝や股関節、足首に強い衝撃が加わります。

他にも重い荷物を持ったまま走ったり、準備運動不足の状態で走ると足首を支える筋肉や骨にダメージを与え怪我の原因に繋がります。

 

筋肉負荷とフォームの関係

フォームに歪みがあると着地時に重心が偏り、足首の上側に痛みが出やすくなります。フォームに歪みがある人の特徴は、片方の足だけが痛くなるということです。

例えば、「やたら上側ばかり怪我するな…」というふうに感じる人は体の歪みが原因かもしれません。

片方の指、足首、膝、股関節などが痛む場合はフォームが偏っている場合があるので要注意です。

 

筋肉負荷と練習メニューの関係

強度のトレーニングをし続けると着地時のダメージを受けやすくなります。着地時に強い負荷がかかり続けると、足首の関節や靭帯に負担がかかり痛みが出ます。
足首が痛む場合には、走る前後の準備が最も重要です。

走る前後はストレッチ、ウォームアップ、終わった後もストレッチと疲労回復のケアなどを入念に行う必要があります。

 

 

筋肉負荷とシューズの関係

人間には、内側に重心がかかる人と、外側に重心がかかる人がいます。それに合わせてシューズにも、内重心のシューズと、外重心のシューズの2種類があります。
自分の重心に合わないシューズを使っていると痛みが出やすくなってしまいます。

それをチェックするためには、スポーツ量販店などで重心を測ってくれるところがあります。
自分の足に合わせてシューズを選ぶことも足首のケガを抑えるポイントになります。

 

 

マラソン中、足首の上側に痛みが出やすいタイミング

足首の痛みの発生原因・種類がわかったところで、次に気になるのが、どんなタイミングや状況だと痛みが出やすくなるか?ではないでしょうか?

タイミング別で足首の痛みが出やすいタイミングを解説しています。あなたが感じる悩みのタイミングの部分をチェックしながら読み進めてみてください。

 

練習で走り出してから足首に痛みが出る

「日常生活や歩いていれば大丈夫だけど、練習になると痛くなるんです…」という場合は準備運動・ウォームアップ不足が原因かもしれません。
毎回の練習前、きちんと準備体操は行なっていますか?いきなり走り出すのではなく、入念にストレッチしてから走りましょう。

屈伸、首を回す、肩回し、手首・足首を回す、など基本的なストレッチを行うだけでも効果的です。

詳しい内容は別の記事で詳しく解説しているので見てみてください。

 

長い距離を走ると足首に痛みが出るケース

「10km程度の距離なら大丈夫ですが、10kmを超えて走ると痛みます…」という場合は、
走行距離を一気に増やしたり、慣れないコースで走ったり無理な練習をすると痛みの原因になります。

足首がランニングに耐えるようになるには、筋力をつけるだけでなく、距離に慣れることが重要です。
例えば、ゆっくり走れば長い距離でも走れるという場合でも、早いペースで同じ距離を走る習慣がなければ、足首が負荷に耐えることができず悲鳴をあげてしまいます。

一気に距離を増やすのではなく、徐々に負荷をかけ、少しずつ長い距離でも一定のペースで走っていくことを心がけましょう。

 

レースになると足首に痛みが出る

「練習では大丈夫ですが、レースになると痛みが出るんです…。」

フルマラソンの大会やレース本番に限って足首に痛みが出ることがあるというランナーも非常に多いです。
これには、「走るスピードの変化」「環境の変化」に耐えきれないのが主な原因です。

マラソン大会では、練習の1人の練習のときとは異なり、周りのランナーに囲まれペースも崩れがちです。

周りに引っ張られて普段の練習よりも早いペースで走ってしまったりスピードを上げるために無理に走ることで、足首に負担がかかりやすくなります。
さらにマラソンでは、走行距離が長くなるため、普段慣れない道や傾斜のキツイコースを走るケースもしばしばあります。

そのせいで走るリズムが崩れてしまい、無理な走りになって足首の上側のケガに繋がっていってしまいます。

ちなみに、マラソン大会で後半失速してしまうということがありますが、これもスピードの変化と環境の変化に耐えられないのが原因になります。

普段と違う走り方や自分が目標とするタイムに合ったペースで走っていくことでケガのリスクを抑えながらタイムの伸ばしていくことに繋がっていきます。

 

足首の痛みを無視して走り続けたらヤバイ?

「走っていると足首の上側に痛みを感じる…」
「けど、走れない痛みじゃないしこのまま走り続けて大丈夫かな?」と不安を感じることがありませんか?

まず、足首に違和感を感じたら、走行距離と走るペースを落としましょう。ゆっくりとジョギングしてペースで走り、どこが痛むのか確かめましょう。
痛みを感じるようであれば一度練習を止めて十分に休養を取りましょう。

無理して走りを再開するとさらなる強い痛みや他の部位の痛みを引き起こす原因に繋がるので控えてください。

その後、練習を止めたら、アイシングやストレッチ、疲労回復などの対処を行い、ケアに努めていくといいです。

「じゃあ足首に痛みが出たら具体的にどんなことをすればいいの?」ということについてはこの後解説していきます。

 

足首の外側に痛みが出た時の対処法

足首の腫れが出たら、まずRICE処置を行いましょう。

RICEとは、応急処置の基本である4つの要素の頭文字を取った用語です。打撲や捻挫などスポーツで起こるケガの多くに対応できる応急処置の方法です。

 

REST(安静)

ICE (冷却)

Compression(圧迫)

Elevation(挙上)

 

RICE(ライス)処置は、内出血や腫れ、痛みを抑えるのに効果的です。この処置を行うと、痛みや腫れを抑えるだけでなく、治りも早くなります。
捻ってしまったり、足首が腫れたらすぐに行なってください。

 

①REST(安静)

 

足首が腫れてしまっている場合、運動することで腫れがひどくなってしまうのでまず練習を止めましょう。

無理に体を動かしたり、足首に負担をかけてしまうと痛みが悪化する可能性があります。

ケガをしたらまず患部を動かさないようにすること、体重がかからないように座って安静にしましょう。

 

②ICE(冷却)

 

次にアイシングを行い、患部の炎症と痛みを抑えるために冷却します。冷やしすぎると凍傷してしまう可能性があるので気をつけてください。

専用の氷嚢がある場合はそのまま、ビニール袋の中に氷を入れて患部に当ててください。当てるときは氷を直接肌に当てずにタオルやラップを巻いて当てるようにしましょう。

約15分〜20分程度患部に氷を与えていると、痛みが出てきてその後無感覚になります。
そうなった後、一旦患部から氷を外して、再び痛みが出てきたら氷を当て直してください。これを24〜48時間ほど続けます。

保冷用のゲル状のアイスパックや冷却用のコールドスプレーも効果的ですが冷えすぎるものもあるので注意してください。

 

③Compression(圧迫)

 

腫れている部分を圧迫して一時的に血流をコントロールすることで腫れを抑える効果があります。

圧迫は、テーピングや包帯などで適度に患部を圧迫しながら巻くと良いでしょう。圧迫し終わったら安静にして極力患部は動かさないようにします。

テーピングの巻き方・足首の固定の仕方はこちらの記事で解説しています。

 

④Elevation(挙上)

 

患部の足首を心臓より高い位置に置いて安静にしてください。
自分で上げるのではなく、椅子や台、クッションや枕などを丁度いい高さの物を利用しましょう。

こうすることで内出血を防ぎ、痛みを緩和することができます。

 

※ただし、RICE(ライス)処置はあくまで応急処置であり、治療法ではありません。
処置を行っても痛みが引かないようであれば、必ず整形外科かスポーツ医に相談しましょう。

 

 

処置が終わったら後、どれくらいで練習に復帰できる?

RICE処置を24時間〜48時間は行いましょう。
処置を続けていった後、足首の腫れや痛みが軽く歩行も楽になるまでなるべく練習は控えましょう。

 

腫れ・痛みが軽くなり歩行も楽になったら?

あくまで目安ですが痛みが発生してから約1週間〜2週間程度立って痛みがあまりなければ、足首に包帯やテーピングを巻いてスポーツ復帰は可能です。

ただし無理せずケガで練習できない期間もあるので特に入念にストレッチや準備体操をして軽めの練習を短時間で行いながら痛みが出ないか確認しつつ練習していきましょう。

 

腫れもひどく痛みが引かない場合は?

 

24時間〜48時間きちんとした処置を行なったのも関わらず、
痛みや腫れが引かない場合は必ず整形外科かスポーツ医に相談しきちんと治療を受けましょう。

症状や痛みの度合いによるので目安ですが1ヶ月〜2ヶ月程度でテーピング・サポーターをつけて足首を固定した状態でスポーツを再開できるようです。

 

 

足首の痛みの再発防止・予防策10の手順

対処策は先ほど伝えたRICE処置を実践してみてください。足首に内側の痛みが抑えられてまた練習が再開できるようになります。

でも、「再発しそうで怖い…」
「痛みが再発しないためにどうしたらいいの?」
そんな場合は再発する理由をチェックしてこの再発防止策も試してみてください。

練習前、練習中、練習以外での再発防止の10の方法をまとめました。

1つ1つチェックしてできそうなところや意識したことなかった部分から取り入れて痛みの再発の防止策として役立ててみてください。

 

①練習前にできる痛みの再発防止・予防策

痛みが発生して回復してからもケガなく無理なく走っていくために再発防止をしていきましょう。

1.ストレッチでの予防

痛みの原因として、柔軟性が不足しているという可能性があります。

日頃の練習からストレッチを行い入念に身体をほぐしてから走るようにしましょう。

2.準備体操での予防

毎回走る時に準備体操は行なっていますか?動いていない状態から身体を動かしてしまうと足首に強い負担がかかります。

屈伸や前屈、足首をグルグルまわしたりといった簡単な体操を数分してから走るだけでもケガの予防に繋がります。

3.ウォーミングアップでの予防

いきなり速いペースで走り出すと足首に負担がかかりやすくなります。

なので、まずはウォーキングを行ったり、ゆっくりとしたペースでのジョグから始めましょう。

特に、ケガをしたての状態のときは特にしっかりアップをしてから、長距離のランやペース走などの練習をしていきましょう。

 

②練習中にできる痛みの再発防止・予防策

4.フォームでの予防

足首の痛みの予防に一番大事なのは、「正しいランニングフォームで走ること」です。

ランニングは体全体を使う全身運動です。

姿勢が悪い、反り腰になっている、上半身がブレてしまう、着地時に重心が偏っているというようにフォームが歪んでいると足首だけではなく、様々な場所に負担がかかります。

あまりに負担がかかりすぎると足首を故障し走れない体になってしまう可能性すらあります。
足首に負担がかからないように、フォームの改善練習も取り入れていきましょう。

5.練習メニューでの予防策

再発を防ぐために、ケガが発生してからはなるべく強度のインターバルトレーニング20km、30kmを超えるランは控えてください。

足首に違和感や痛みを感じたらすぐに練習を中断、アイシングやマッサージなどの行いましょう。

また、練習の頻度にも注意しましょう。時にケガが気になる時期には休養日の回数を増やしたり疲労を溜めないという動きをしていってください。

最終的には自分の体、かかりつけの医師との相談にもなりますが、無理せずストレッチや入念な準備体操、アップを行いながら実践していきましょう。

6.コースでの予防策

コース選びでケガを予防することができます。

コンクリートなどアスファルトの道を歩いていると足首の痛みにも繋がりやすいです。辛い道は、足首だけではなく膝や股関節にも強い衝撃が加わるので注意が必要です。

ケガをしているときは陸上競技場のトラックなど比較的柔らかい

砂利道や河原、山などの不整地のコースを走るのも気をつけましょう。

不整地を走ると足首をひねってしまったり着地時による大きな衝撃によって足首の痛みの原因に繋がります。

特に、ケガをしてから時間が経っていないときや強度のトレーニングなどを行う時には走るコース選びに注意しましょう。

 

③練習後にできる痛みの再発防止・予防策

7.クールダウンで予防

練習が終わったらしっかりとクールダウンを行いましょう。

練習後におすすめなのがアイシングです。トレーニングを行うと関節や筋肉は小さな炎症を起こします。

疲労を溜めず素早く回復させるためにも故障の原因にもならないためにも気になる部位、特に足首のアイシングをしておくように心がけてください。

8.マッサージでの予防

身体や筋肉の疲労を回復するときにはマッサージも効果的です。まずは自分でできる範囲のマッサージを自分の手で行いましょう。これをセルフマッサージと呼びます。

セルフマッサージを行うときには、筋肉を痛めないように注意します。指先を使って強く揉んだり押したりすると筋肉を痛めてしまうので避けてください。

セルフマッサージは、手のひらを使って軽くこすりましょう。基本的には、体の末端に近い方から心臓に向かって行います。

足の裏は、ゴルフボールなどの利用すると簡単にマッサージできます。床にボールを置き足を乗せ、コロコロ足の裏で転がしましょう。

この場合も足の底の腱を痛めないように適度な強さで行うようにしてください。

こうしたマッサージを加え、とくに筋肉が疲弊・ケガを防ぐためにはトレーナーなどの専門医のケアも受けると故障が予防でき、練習の中断を防ぐことができます。

9.疲労回復・休息を取って予防

ケガを再発を抑えるためにもしっかり休養を取りましょう。

ケガでしばらく練習ができず、「練習不足に陥ると不安になるんです」「次のレースに間に合わせないと…」というふうに無理にトレーニングを再開してしまうランナーがいます。

しかし、休養なく練習を積んでしまうケガの再発のリスクを高めるだけです。

なので、しっかりと日頃から疲労を回復させるために休養日を作る、時間を取ってストレッチをする、疲労回復に効くマッサージや食事を心がけるなど回復・休養に努めましょう。

10.足首の筋力トレーニングでの予防策

筋力不足はケガの原因に繋がります。平らな道を走っていても、足の筋肉が足りないと、体重を支え続けると耐えられなくなります。

トレーニングに対し、筋肉が負荷に耐えられなくなるとそれだけダメージが蓄積していきます。

足首に筋力があれば関節の補強をしてくれるので固定の役割を果たします。それに筋肉をしっかりつけると着地時の際に衝撃を吸収してくれます。

足首を鍛える筋力トレーニングを1つご紹介します。タオルギャザーという方法があります。タオル1枚と立てるスペースがあればできます。

 

 STEP①タオルを床に敷く

STEP②タオルを足の上に置いて足指を開く

STEP③足首を閉じてタオルを引き寄せる

 

足指・足首を含めた全体の筋力強化方法です。やってみると結構キツイですが、足首と足の裏を含めて鍛えることができます。

ランニングは体全体を使う全身運動です。どれだけ足に筋力があっても上体がブレてしまうと足に余計な負担がかかってしまい、痛み発生の原因に繋がってしまうので全身を鍛えていく意識を持っていきましょう。

ガチガチに足首を鍛えればいいというわけではありませんが、足首のケガの予防には効果的なのでできるところから行なってみてください。

 

足首の上側に痛みを感じたときの対処法まとめ

足首には衝撃や負担がかかりやすくそれに合わせて足首の上側の痛みも引き起こしやすいです。
ですが、痛みを抑えるための正しい理由を理解して的確な処置を行うことで痛みを和らいでいきます。

そして再発防止のためにアップやクールダウンを入念に行った上でトレーニングをしていくことで

ケガを恐れずどんどん練習に打ち込むことができ、走れば走るほどタイムが伸びる、そんな状態になることができるでしょう。