フォームの記憶を効率化、自動でいいフォームで走る方法

マラソンでサブスリーを達成するにあたって、負荷が少なく効率的なフォームを体得していくことは必須です。

あなたもこれまでもフォームを調べて真似してやってみたりしたのではないでしょうか?

「なんかしっくりきた気がする…」と思っても少し経つと「あれ、あの感覚どこ行ったんだ??」

こんな風に、フォームの習得に時間がかかってしまったり、結局正解がわからなくなってしまい諦めてしまう、という状況が続いているなら読み進めてみてください。

スポーツ心理学でフォームを習得するための「運動記憶」について解き明かしていきましょう!

運動を記憶する脳みそ

運動を記憶するのは「小脳」という部分です。

「重心の真下に着地しましょう」
「骨盤を少し前傾させましょう」
「かかとで着地して母指球の方から抜けていきましょう」

・・・こんな同時に言われても難しくないですか!?

ワンポイントだったら意識もできるし、フォームが変わって走りが軽くなるのも感じられる。

けど、同時にいろんなポイントを意識していくと、動作がぎこちなくなってしまう…。そんな経験があなたにもあるのでしょうか?

しかし、思い出してみてください。

初めて自転車の補助輪を外そうと練習をしていた時のこと。

最初はふらついてしまい、ぎこちなかったと思います。

地面を蹴って漕ぎ出すタイミングや、バランスの取り方など同時に意識しなくてはいけなかったからです。

けど、今だったら何も考えずにスムーズで無駄のない動きで自転車を漕ぐ事ができますよね!

それはなぜかというと「地面を蹴るタイミング」「バランスの取り方」を小脳で記憶して自動で調整してくれているからなんです。

ランニングのフォームのポイントも、いかに早く小脳に記憶させるかが大事です。

 

フォームを小脳に効率よく記憶させる方法

どうすれば効率的に小脳にフォームを記憶させる事ができるのでしょうか?

小脳の中で神経が繋がっていく事でその動作を覚える事ができます。

神経を繋げる5つのポイントをご紹介していきます。

①ストレスを活用!

最初はそのネットワークが複雑なので、動きもぎこちないんですが、そのぎこちなさによってストレスホルモンが発生します。

ストレスホルモンがネットワークの余計な部分を削ぎ落として、正しいネットワークだけを残す事によって、スムーズな動きができるようになります。

 

②反復練習!

「こうした方がいい」と言われたフォームが最初はうまくできなくって違和感を感じていたとしても、繰り返し反復していく事が大事です。

反復練習の中で、神経のネットワークが整理されていきます。

とにかく、毎回の練習で1ポイントでもいいので意識しながら練習する事が大事です。

「腕振りの肘を引くのを意識」
「着地の真下に乗るのを意識」
「また腕振りを意識」

など、ワンポイントずつでも意識して繰り返していく事で、フォームは記憶されやすくなります。

まず大事なことは違和感があったり、ぎこちなかったりしてもとにかく続けていきましょう。

 

③文脈干渉効果を活用!

脳にストレスをかける事によって、スムーズなランニングフォームの記憶は早まっていきます。

では、どうやってストレスをかければいいんでしょうか?

無理に追い込んだり、過酷な練習をするわけではありません。

「文脈干渉効果」という心理効果を活用しましょう!

AパターンとBパターンどっちが効果的だと思いますか?

 

A:「今日は腕振り」「今日は着地」など1日ごとにポイントを決めて練習。

B:「この3kmは腕振り」「次の3kmは着地」など1日に複数ポイントを練習。

 

どっちが効率的なんでしょう?

正解はBパターン。

脳は意識するポイントを切り替えるときにストレスを感じるので、ネットワークを整理する作用が強く働きます。

名前は難しいですが、これを「文脈干渉効果」と言います。

フォームの習得をしたいときはランニング中にどんなポイントを意識するかを決めておきましょう!



④レミニッセンスを活用!

レミニッセンスという心理効果があります。

こんな経験はありませんか?

試験勉強中、なかなか英単語が覚えられない….。けど、一晩経ったら、意外と単語を思い出せた!

ここでレミニッセンスが起こっています。

レミニッセンスとは「寝ている間に脳の神経ネットワークが整理される現象」のことを言います。

勉強だけでなく、スポーツのフォーム習得でも起こります。

その日のうちに、フォームが完成しなくても大丈夫です。

しかし、レミニッセンスを引き起こすには、脳にストレスをかける事が大事です。

日中に「文脈干渉効果」でたくさんストレスをかける事で、夜「レミニッセンス」で寝ている間に神経ネットワークが整理され、フォームが習得されます。

練習した日は、夜はしっかりと睡眠時間を確保しましょう!

 

⑤ドーパミンを活用!

フォームを脳に記憶させるポイントがまだあります。

神経ネットワークが繋がりやすい状態があるんです。

それは脳内で「ドーパミン」というホルモンが出ている状態です。

ドーパミンを出すにはどうすればいいのでしょう?

ドーパミンはどんなときに出るかというと「楽しい!」と感じているときです。

ドーパミンは幸せホルモンとも呼ばれています。その名の通り、楽しさや幸せを感じているときに脳内で分泌されます。

あなたがランニングの練習を楽しいと感じながらできるかは正直わかりません。

しかし、脳を騙してドーパミンを強制的に分泌させて、脳の神経ネットワークを繋がりやすくする簡単な方法があります。

「楽しかった!」と言えばいいだけです!

この言葉をいうだけで、あなたの脳を騙す事ができます。

実際にドーパミンが分泌されて、フォームの記憶が行われます。

実際に口にした方が効果的ですが心の中で「楽しかった!」と思うだけでも効果的です。

次の練習の後は思いっきり笑顔で「楽しかった!」と口にしてみましょう!

脳の機能を活用したトレーニングでフォーム習得を効率化!

正しいフォームを理解し記憶するのは脳です。

そして、さらに正しいフォームで走るように身体へ指示を出すのも脳です。

脳の機能や、運動を記憶していくメカニズムも意識しながら、効率よくフォームを習得していきましょう!

効率化のテクニックを活用したうえで、地道に繰り返す反復練習が必要なのはいうまでもありません。

マラソンに近道はありません。しかし、最短ルートは存在します!

効率よくフォームを身に着け、自己記録更新を目指しましょう!