「あれだけ練習を重ねてきたのに…」
フルマラソン、30km以降に訪れる突然のペースダウン…。
「これまでのペースだったら、サブスリーも狙えたのに…」
「まだやれるのに…」
「もっと頑張りたいのに…!」
なぜゴールを目前にペースダウンしてしまうのでしょうか?
もし、これをほんのちょっと『考え方』を変えるだけで、ペースダウンを大幅に防げたとしたら?
「そんなの嘘だろ?」そう思いました?
しかし、これから紹介するスポーツ心理学のテクニックは、スポーツ科学の研究によって明らかになった裏付けのある理論になります。
あなたの自己記録更新の大きな手助けとなってくれるので、ぜひ読んでみてください。
限界7割の法則
なぜ多くのランナーが共通して30km以降のペースダウンで悩んでいるのでしょうか?
それは心理学的な理由があります。
これはマラソンに限った話ではなく、ゴール目前での失速は他のスポーツでもよく起きます。
100m走、水泳、サッカー、バスケ、F1など、様々なスポーツのアスリートがこう言います。
「勝利が見えた途端、限界を感じて体が動かなくなった」
この現象の裏付けとなる心理学の実験があります。
心理学者エレン・ランガーの実験です。
「ジャンピングジャック(両手足を開いて跳ぶトレーニング)を50回やるとしたらなん回目で疲れると思うか?」と聞きました。
→ほとんどの人が「30回くらい」と答えました。
「ジャンピングジャックを70回やるとしたらなん回目で疲れると思うか?」と聞きました。
→ほとんどの人が「50回くらい」と答えました。
つまり、人は7割くらいで限界を感じるのです。
42.195kmでも大変で30kmで壁を感じるのに、世の中には100kmなどのウルトラマラソンを完走する人がいるのです。
よくある話が「フルマラソンのレース中のハーフ地点でのタイムがハーフの自己ベストを更新していた」という事例です。
ゴールにたどり着くまでの苦しさは、ゴールがどこにあるかによって決まる相対的なものだということもできます。
ということはつまり「ちょっと多めに走ろう」と思うだけでゴール直前の苦しさは軽減されます。
フルマラソンだったら60kmくらい走る気持ちで臨みましょう。
筋トレでも10回やりたかったら15回やる気でやったほうがいいんです。
考え方ひとつで、体の発揮するパフォーマンスは大きく変わります。
ぜひ、次のランから試してみてください。
目標勾配効果
ゴールまであと1kmです。
ラストスパート、渾身の力を絞り出し、足を前に進めます。
「あ、まだこんなに走れたんだ」
「どこにこんな力が眠っていたんだろう?」
思わずスピードが出てびっくりしたことはありませんか?
もしかしたら、「もっと早くからこのスピードが出せていればサブスリーを達成できたのに!!」
なぜ、ラストスパートはスピードを出すことができるのでしょうか?
その秘密は目標勾配効果にありました。
心理学者クラーク・ハルの実験によると「人はゴールに近づくにつれてやる気が上がっていく」とのことです。
「迷路の出口にエサをおかれたネズミがどういう行動をとるか」という実験をおこなったところ、ネズミは出口に近づくにつれて足が早くなったという実験結果をだしています。
ゴールまで残り1kmなど、ゴール間近になってくると、人は体が動くんです。
この「目標勾配効果」をマラソンではどういかしていけばいいのでしょうか?
大事なポイントは「小さなゴール」を作ることです。
「42km走る」よりも「1kmを42回走る」方が心理的には楽に感じます。
もし、30km以降、走るのが辛いと感じたら、次31kmを次のゴールだと考えてください。
人はゴールを見るとやる気が出てモチベーションが上がるのです。
42.195km走っていると、「本当にゴールに近づいているのか?」前に進むために足を動かしているのに、前に進んでいる実感がなぜか感じられなくなるここってありませんか?
だからこそ、1kmごとをゴールと捉え、本来のゴールに対しても近づいていると脳に思わせることが大事です。
次のランニング練習からやってみてください!
肉体と精神の関連性・・・
肉体と精神は深く結びついています。
緊張すれば、肩に力が入ったり、手に汗をかいたりします。
運動後、体が疲れていれば、動きたくなくなったり、やる気が出なかったりしますよね。
心と体は互いに影響し合ってるんです。
マラソンは肉体の限界にチャレンジするスポーツです。
だからこそ、精神面でも肉体をサポートできるようにしていかなくてはいけません。
体が動かなくなる原因は、エネルギー切れだけではありません。
脳(精神)がストップをかけている可能性もあります。
精神面でも30kmの壁を突破するための対策をしてきましょう!